■ 試験に合格するまで一苦労だったのに、就職にも苦労したとか。
小長谷 公認会計士の資格を取得するためには、2次試験に合格したあと、さらに2年間の実務経験が必要です。それがないと、3次試験を受けることができないんです。だから、学校に通って2次試験に合格した人は、監査法人に就職して実務を積むケースがほとんどです。
私が試験に合格する前の年までは、試験に受かった人が就職に苦労することなんてなかったそうです。ところが、私が試験に受かった1993年は、就職口が全くない、超氷河期だったんですね。
■ なぜ、それほど就職状況が悪くなっていたんですか。

小長谷 不況で倒産する企業が多かった時期でした。企業の数が減ったのだから、監査法人も仕事が少なくなったんだと思います。結局、監査法人に就職口はなくて、簿記の学校で一緒だった友達の紹介で税理士事務所に就職しました。ただ、税理士事務所で働いても、3次試験に必要な実務経験は得られないんです。
だから、資格を取るという意味では、税理士事務所に就職したのは回り道でした。でも、後に自分が会計士として独立すると、税務の知識が必須なんです※注。
それまで学校で勉強した簿記の仕訳や帳簿の付け方は、定型的なものだけでした。でも、現実は、そうではない。税理士事務所に居る間に、税に関する実務はどういうものか、理解することができました。例えば、銀行から借り入れをするときに振り込まれる金額は、手数料と利息が差し引かれた額が振り込まれます。借入額と実際に振り込まれる額が一致しないということは、教科書には載っていません。
■ でも、ご自分の希望だった監査法人での仕事ではなかったわけです。その当時はどんな気持ちでしたか。
小長谷 そのときは、監査法人に就職した学校時代の友人がやっている仕事と自分の仕事が全然違うので、落ち込んだこともあります。でも、もし最初から監査法人に就職していたら、税の実務なんて知る機会はなかったと思います。そのときは回り道だと思うことでも、後の自分にとって財産になることもある、と気付きました。
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