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大人もロボットとのコミュニケーションに胸を躍らせる

■では、家庭用ロボットの意義として、コミュニケーション能力に的を絞ったのは、なぜですか。

長島 仕事をするだけがロボットではない。情報を取って来て、オーナーと会話するコミュニケーション機能を持つことでも、オーナーの生活は豊かになるし、十分なメリットを得られると考えています。これは、ある病院での出来事がきっかけでした。

家庭用ロボットの市場性を検討していたとき、国際電気通信基礎技術研究所(ATR)が開発したロボット「ロボビー」を借りて、これに似たロボットを自社で作り、ロボットに対する消費者の反応を調べていました。テーマパークに持って行って、アミューズメントロボットとしての可能性を探ったり、災害救助ロボットを開発できないかと考えたりしていたのです。

ある日、ロボビーを病院へ持って行ったときのことです。一人の年配の男性患者が、車いすから立ち上がり、近付いて来て、「ロボビー、ロボビー、こんにちは」などと話しかけたのです。後から聞くと、その男性はリハビリ訓練が嫌いで、いつも車いすで移動していたそうです。男性の積極的な態度を見て、病院の先生やスタッフの方が非常に驚いていました。

ロボットに興味を持つのは子供だけではありません。大人でも、ロボットとのコミュニケーションに胸を躍らせるのだということが分かり、非常に印象に残りました。この辺りから、ロボットと人とは相互に影響し合うことができる存在であり、人との親和性をアピールするロボットであれば、十分、事業として成り立つ可能性があると思うようになりました。

 こうした検討を経て、三菱重工は2003年2月、コミュニケーション機能に重点を置いた家庭用ロボット「wakamaru」の開発意向表明を行った。次回は、wakamaruが具体的に形作られるまでの、プロジェクトメンバーの試行錯誤を語ってもらう。

小林 佳代

1967年東京都生まれ。1990年慶応義塾大学法学部政治学科卒業。同年日経BP社に入社。「日経ビジネス」記者などを経て2001年に退社、フリーに。現在、「日経ビジネス」、「日経ビジネスアソシエ」、「日経エコロジー」など、主に経営・ビジネス関係の媒体で執筆中。

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