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未来をつくるワークプレイス、欧州発祥の「フューチャーセンター」

2008年3月27日

(紺野 登=多摩大学大学院教授)

知識経済の重要なキーワードは「都市」である。ナレッジワーカー(知識労働者)やクリエーターによる人的ネットワークが経済価値を生む舞台となるからだ。2008年以降、世界の都市人口は農村人口を上回り、「都市の時代」を迎える。

こうしたなかで、「ナレッジ・シティ(知識都市)」や「クリエーティブ・シティ(創造都市)」と呼ばれる都市の概念が生まれた。スペインのビルバオ、オランダのデルフトやユトレヒト、アラブ首長国連邦のアブダビやドバイなどが有名だ。これらの都市では、情報技術や社会・文化機能が、知を生み出すワークプレイスを支え、経済活動を促している。

こうした世界経済における都市の動向を前提に、ワークプレイスを構想しなければならない。郊外の自宅から都市のオフィスに通勤する典型的な生活モデルも変わっていくだろう。さらに、オフィスを生産性だけを求める工場のような設備ととらえることも、再考しなければならない。

人的ネットワークの力を生かす

ワークプレイスのデザインで最も重要なのは、外部の関係者を含めた人的ネットワークの質を高め、ノウハウやコンセプトなどの知識資産の創造に結び付けることだ。この連載で紹介してきたワークプレイスの事例は、知識資産を活性化させる仕組みであるといえよう。

都市で人的ネットワークの力を活用し、社会経済に革新を起こすワークプレイスの事例を紹介する。「フューチャー(未来)センター」と呼ぶ欧州発祥の施設だ。中長期的な課題解決を目指し、幅広く関係者が集まって対話する創造的な協業の場である。議題は、製品開発や事業戦略策定などの民間分野から、革新的な政策立案など行政分野まで多岐にわたる。施設は、会議・研修スペース、学習スペース、ミーティングスペースなどで構成される。

知識経済を志向する欧州の企業や政府機関が、ここ十数年の間に合計約20カ所のフューチャーセンターを開設した。場所は、スウェーデンのバクスホルムやベステローズ、オランダのユトレヒトやデンハーグ、デンマークのコペンハーゲンなどだ。日本では、富士ゼロックスが2007年1月、知識創造のための専用スペースとして東京・港の同社オフィス内にフューチャーセンターを開設している。

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