ネット上の著作権侵害、TBS事件を検証する
(田淵 義朗=ネット情報セキュリティ研究会)
今週から個人情報保護について書こうと思って準備していたら、TBSの公式ホームページでのコラム盗用事件のニュースが飛び込んできた。
テレビ局が新聞社の記事・コラムを盗用しサイトに掲載
実は昨年夏、某中堅出版社の依頼で、「ネットリスクと著作権」というテーマで、編集者数十人の集まりの社内勉強会で講師をしたことがあった。そこでは、ベストセラーになった「サラリーマン川柳」(読者投稿による入選集)を例にしながら投稿を募る場合の注意や、ネット上での募集方法、システム上で確認をする投稿者との著作権の取り交わし文案例などについて話をしたのだった。
そのとき、今回の事件で問題になった他社の記事からの転載、つまり「ネット上の転載及び引用、要約」の限界、裁判事例などを紹介したことを思い出したのである。
勉強会では、出版社がネットでどうベストセラーを創り出すかというのが隠れたテーマであった。しかし、なかなか商売に繋がらないのもネットの特性であり、日々ビジネスモデルを模索しているのが現状である。出版社は紙で、テレビ局は放送で稼ぐ、というモデルをベースにしつつ、一歩づつ試行錯誤をしながら進んでいるように見える。
筆者は都内の大学でコミュニケーション学を週一回教えているのだが、下宿している学生に「新聞をとっているか?」と聞いたら、とっているのは十数人中ゼロだった。自宅通学の学生も新聞を読まず、ネットで検索している。社会人でも、ネットで新聞を読むのが主流になりつつあるし、筆者もネットで新聞各紙を比較、斜め読みしているのだから、年代を問わずこうした傾向が顕著になっているのは間違いない。
今回の事件は、テレビ局の公式サイト上のコラムが、読売、毎日、朝日など新聞各紙合わせて記事・コラム17件(確認できた件数のみ・5月12日0時30分現在)を無断で盗用し制作、掲載したというものだが、なぜこのような過ちを、いみじくもプロである編集者が起こしたのか、検証してみたい。
なぜプロが盗用するという愚を起こしたか
残念なことに、文章を書いている現在(5月12日早朝)でも、TBSのWebサイト謝罪報道がなされておらず(編集部注:その後、遺憾の意を表明する文面がトップページに掲載された)、盗用された側の新聞社のサイトが「謝罪する広報部長」と顔写真入りでニュースを流している。JR福知山線の列車転覆事故で、JR西日本の「対応が二転三転する」「記者会見の対応が悪い」と非難する側のマスコミ自身(相当厳しい罵声に近い言葉が発せられていた)が、自らの著作権法違反を認め謝罪しながら、未だにサイト上で告知をしていない。サイト下段の「著作権とリンク」では堂々と「番組の転載について」「引用について」で著作権の取り扱いに注意するようにと読者へ告知があり、笑えないブラックユーモアである。
next: 盗用件数が11件と最も多い毎日新聞の報道によると…
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