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コメントとトラックバックに見る日米ビジネスブログの違い

2005年10月19日

さて、今回は出張で米国におりますので、日米のビジネスブログの違いについて、あまり書かれていない点を指摘してみたいと思います。

今年の5月に、米国でビジネスブログに関する書籍を執筆しているシェル・イスラエル(Shel Israel)氏に、日本のビジネスブログに関してインタビューされました。(注:インタビューの中で触れられている書籍は「Naked Conversations : How Blogs are Changing the Way Businesses Talk with Customers」。著者はブロガーとして有名なRobert ScobleとShel Israel。2006年1月発行予定)

ビジネスブログについては、日本が先行しているので、イスラエル氏はかなり興味を持っていろいろな質問をしてくれました。その会話の中で浮き彫りになったことの一つが、日米における「トラックバックの利用のされ方の違い」でした。

トラックバックは無責任な意見が付きにくい

日本のビジネスブログは、トラックバックを使った意見表明だけを可能にしているものが多数です。これは、「ネガティブな反応が付きにくい」というのが理由です。実際に多くのビジネスブログの運営者が「最初はどんな内容の反応が寄せられるか心配だった。トラックバックを利用したところ、それまでの掲示板で見られたようないい加減な意見はほとんどなかった」と口をそろえています。

トラックバックは、自分のブログに自分の意見を書き、それを相手のサイトに通知する仕組み。「自分のブログに無責任な意見は書きにくい」ので、不適切な意見が付きにくい。そう考えられ、ビジネスブログを運営する企業担当者に重宝されてきたわけです。

一方、コメントは、掲示板のように無責任な意見を簡単に書くことができます。このため、ビジネスブログにおいてコメント機能を有効にすることは、企業担当者として勇気の要る判断になってしまっています。

コメントならではの良さ

ところがイスラエル氏はインタビュー中、「コメント機能の良さが、日本のビジネスブログで過小評価されているのは残念」と漏らしていました。トラックバックは、トラックバック機能に対応したブログを持っている人にしか門戸を開放しておらず、フィードバックの敷居を高くしてしまっているからです(もちろん、それが無責任な意見表明を防いでいるわけですが)。

ほかにも、コメントであれば、掲示板のように、さまざまな人の意見が時間軸とともに文脈を持っていきます。これに対してトラックバックでは、「ある人のトラックバックに対する反論トラックバック」といった時間軸を持った対話が、非常に生まれにくくなっています。反論する側が意識しても、読み手は、時間軸を意識して文脈を捉えることがほとんどできないためです。

ただし、ブログが日本で登場したばかりのころと異なり、現在は、コメントやトラックバックの内容を公開前にチェックしたり、迷惑コメントや迷惑トラックバック(いわゆるブログスパム)を排除したりできる環境が整ってきています。イスラエル氏が語るように、「コメントならでは」のコミュニケーション機能を生かした、ビジネスブログが登場する時期も、そう遠くはないでしょう。

関 信浩(せき のぶひろ)

シックス・アパート株式会社 代表取締役(米Six Apart Ltd. Executive Vice President & General Manager of Japan)。

1969年10月 東京生まれ。1994年 東京大学工学部卒。1994年から2003年まで、日経BP社で編集や事業開発に従事。2002年 カーネギーメロン大学ビジネススクールで経営学修士(MBA)を取得。カーネギーメロン大学在学中に、ビジネスプランコンテストで特別賞などを受賞。2003年12月 シックス・アパート株式会社を設立し代表取締役に就任。

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