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志の原点

松下政経塾出身の国会議員で作る未来政治研究会の緊急会合を持ちました。ちょうど北朝鮮が核実験を行い日本も世界も騒然としている時でした。カンボジアで孤児たちの面倒を見ていた政経塾生の堀本崇君が交通事故で亡くなったとの連絡を受けての緊急会合でした。一同、堀本君の冥福を祈り、黙とうを全員で捧げた後、逢沢一郎代議士が短い講演を行いました。

臨時国会では、教育基本法改正問題、防衛庁省昇格問題など激しい議論が交わされていました。今日からは最も与野党が激しく激突するだろうと皆が予測する、そんな日に開催された会合でした。議運委員長は20分遅れで会場に着きましたが30人のメンバーのうち18名がそろい、誰一人として遅参を責めるものはいませんでした。

「自分の今の問題意識を話してみたいと思います」と静かな口調で逢沢さんが話し始めます。

「我々の仲間である堀本君がカンボジアで亡くなりました。志半ばのとても残念な最期です。宮瀬君は、堀本君の活動に心酔し、強い影響を受けて岡山政経塾に入りました。その宮瀬君から訃報を受け取りました。塾員・塾生の中で初めての送りです。NPOを自ら主宰しながらの活動中の死です。言葉を選ばなければなりませんが、政経塾生らしい死を遂げたのかもしれません。いつも原点に立ち返る。志を立てた原点に返ることを堀本君は、私たちに再認識させてくれました。堀本君は、年に数回、多いときは10回以上カンボジアに足を運び、親を亡くした子供たちの教育支援に当たっていました。金融機関も整備されない中で、時には大きな現金を持って行っていたこともあります。堀本君は前向きに倒れました。彼の死を悼み、志を引き継ぐことをしたいと思います」

「志を持つということはどういうことか? 人間とは何か? 日本人とは何か? 塾に入ったときに人間観の研究をしました。今、国政の現場にいて、尚更そのことを強く意識します」

講演の最後に逢沢さんは、「310万の死者が語りかけてくれるものは?」について話しました。これは作家の半藤一利氏の『昭和史』の結びの部分の文章です。

「よく『歴史に学べ』といわれます。たしかに、きちんと読めば、歴史は将来にたいへん大きな教訓を投げかけてくれます。……ただしそれは、私たちが『それを正しく、きちんと学べば』、という条件のもとです」(半藤一利著『昭和史』「むすびの章」より)との一文を引いて、逢沢さんは半藤氏のような方を招いてもう一度、勉強会を開催したいと強い願望を述べました。

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