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松下塾長の無税国家論は、税を払う権利をなくせと言っているのではありません。そうではなく、一生懸命働いて、ある一定の積み立てができればその運用益で国家経営さえ可能であるということを意味しているのです。

150兆円の年金積立金を昨年は5.8兆円も運用失敗して毀(き)損した政府とは真逆のことをやれと言っています。産油国の中にはクウェートのように豊富な石油収入により豊かな財政を持つ国もありますし、シンガポールのテマセックのように国家が間接的に資金運用に携わることによって様々な国民の福利厚生に役立てている国もあります。

無税国家論はけっして荒唐無稽な話ではありません。それどころか、税を使う側だけに立って組み立てられる財政経済政策に大きな警鐘を鳴らす理念としてもとても大切です。

国家経営という時、一部の人は「小さな政府論」を思い浮かべますが、小さな政府が財政が健全な政府かというとそうとばかりはいえません。むしろ社会保障のしっかりしている国が国際競争力も高く、財政健全化にも成功しているという事例が散見されます。経済がしっかりしての財政です。ろくでもない経営者に限って人件費や教育を真っ先に削ります。

消費税増税を含む9兆円もの負担増を一気に敢行した内閣がありました。財政健全化法を強行して、緊縮財政を目指しましたが、財政は健全化するどころか「政策不況」が起きて歳入の元となる税収は10兆円以上も落ち込み、かえって財政赤字が拡大する結果となりました。

私は、税を取る側、使う側の論理に立たず、国民全体の生活から改革を考えるようにしていますが、その基礎は松下幸之助塾長の無税国家論にあります。民の竈(かまど)から上がる煙を見て為政者は政策を考えるべきだと思います。生活が第一です。民の竈から煙が上がらないのに財政が健全化するなどということはありません。

アジアの通貨危機が広がっているのに増税することの是非を私は、国会で当時の首相と繰り返し議論しました。世界経済の動向も見ないで増税を強行するのは、相手の手を見ないで将棋を指すようなものです。

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