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パソコンの世界でもある商品の世代交代(バージョンアップ)はサーバーの世界でも当然あり、顧客はサーバー、基本ソフト、データベース・ソフトなどの世代をそれぞれ管理し、新商品が出たら買い直していく必要がある。困ったことにある商品だけ新しくすると全体として動かないことがしばしばある。

iSeriesは基本ソフトからデータベースなど、基本的な機能がすべて一体となっているので、顧客は上記のような面倒な作業がいらない。業務ごとのソフトは開発するか、パッケージを買ってこないといけないが、実際に動かすときの管理作業はほぼ自動化されている。これは、企業のシステムとして利用するときに必要な管理作業をあらかじめ想定し、iSeriesが基本機能として取り込んでいるからだ。

理想の仮想コンピュータを当初に設計

ここまで読んで「様々な企業が出すベストの商品を組み合わせて使う方がよいと言われていたのではなかったか」と首をひねる読者がおられるだろう。確かにここは分かれ道であり、「自分で苦労しても様々な商品を組み合わせて使いたい」と考えるか、「とにかく仕事に使えればそれでよい、コンピュータの面倒な苦労は避けたい」と考えるかで、iSeriesに対する評価は異なってくる。もともとiSeriesは、コンピュータの専門家をおけない中堅・中小企業向けのビジネスコンピュータとして設計されており、コンピュータの専門家をたくさん置きたいという企業には、はっきり言って向かない。

ただしコンピュータメーカー1社が必要な機能をそろえて提供するというだけなら、かつて多くのメーカーが実施していたことと同じである。iSeriesが高い顧客満足度を維持し、生き残ってきた理由は、実に卓越した設計思想で統合を実現した点にある。

前回紹介したようにiSeriesの設計者であるソルティス博士は「変化するテクノロジーの流れに順応性のある寿命の長いコンピュータシステムを提供したい、お客様の投資を保護したい、という激しい情熱があった」と述べている。ソルティス博士の設計により、iSeriesは新しい技術を、顧客に負荷をかけずに採り入れることができるようになっている。

新しい技術は大きく二通りある。一つはコンピュータそのものの技術革新。iSeriesは、コンピュータの心臓部に当たるCPU(中央演算処理装置)で技術革新があった場合、いち早く採り入れることができる。もう一つはIBMの外で起きる、「スタンダード(標準)」と総称される技術革新である。ソフトウエアを開発するための手法や、コンピュータ同士をネットワークでつないで会話をさせる手段の革新があった場合も、iSeriesは遅れなく追随できるように工夫されている。具体的には、WindowsやUNIXといった基本ソフトのデータ格納の仕組み(ファイル・システム)を扱えるようにしたし、TCP/IPと呼ばれるインターネットの標準通信手順や、業務処理のソフトがデータベースに情報を取りに行くときの標準手順も、iSeriesで利用できる。

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