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つまり顧客満足度世界一のコンピュータは今から35年前に設計され、25年前に出荷されていたことになる。コンピュータ産業の中で35年、いや25年は大昔である。ソルティス博士は自著の中で、iSeriesの設計思想をまとめ上げた背景として「変化するテクノロジーの流れに順応性のある寿命の長いコンピュータシステムを提供したい、お客様の投資を保護したい、という激しい情熱があった」と述べている。

35年前の情熱通り、iSeriesはコンピュータ技術がどのように変化しても、その変化を吸収して進化するとともに、長年の顧客のソフトウエア開発投資を無駄にしない、稀有なコンピュータになっている。

35年前と言えば、UNIXサーバーもパソコンも無かったと言ってよい。35年たって、コンピュータの世界は様変わりし、今ではコンピュータと言えば、パソコンを指すようになった。サーバーの世界においても、パソコン・サーバーとUNIXサーバーが主流になっている。こうした製品群は、インテルのCPU(中央演算装置)、マイクロソフトの基本ソフト、あるいはUNIXと呼ぶ基本ソフトを使っており、設計思想面の独自性はあまりない。独自の設計思想を持つコンピュータは徐々に市場から退出している。それだけに、iSeriesは異彩を放っている。

といってごく少数の特殊な企業だけがiSeriesを利用しているわけではまったくない。前身のAS/400は世界150カ国で販売され、iSeriesと合わせて75万台を出荷した。複数担当者が使うマルチユーザー・ビジネス・システムとしては世界一の出荷量を誇っている。

数度の危機を乗り越える

もっともiSeriesの歩みは平坦ではなかった。過去の歴史をひもとくと大きく2度、絶滅しかねない危機的状況に陥っている。1回目の危機はIBMが1982年から、新しい中型コンピュータの開発を始めたときである。1980年代初め、IBMはiSeries(システム/38)のほか、システム/36、シリーズ/1、8100など、複数の中型コンピュータを抱えていた。しかもこれらの機種の間には、ソフトウエアの互換性がまったくなく、あるコンピュータで開発したソフトウエアはそのコンピュータでしか動かせなかった。

それぞれのコンピュータに顧客がついていたものの、IBMにとっては複数のコンピュータを開発し続けるのはあまりにも効率が悪い。そこでIBMの経営陣は、新しい中型コンピュータを作り、この新製品でシステム/38など既存のコンピュータを代替しようと考えた。幸か不幸か、このプロジェクトにIBMは失敗し、3年後の1985年に打ち切りとなった。

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