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大詰めの郵政民営化、情報システム対応はできる? できない?

2005年5月10日

日本郵政公社の民営化を巡る政治交渉が大詰めを迎えた。ところで懸案の一つ、民営化に伴ってコンピューターシステムを改修する「情報システムの民営化対応」はどうなったのであろうか。

少し前のことだが4月初めに「情報システムの構築が間に合わない場合に限り、2007年4月の民営化開始時期を半年間猶予する」という政府の方針が報道された。はて、2004年に識者を集めた「郵政民営化情報システム検討会議」が開かれ、2004年末には「2007年4月の民営化時に情報システムを間に合わせることは可能」という報告がなされたはずではなかったか。

4月3日付日本経済新聞の記事によると、民営化を開始する時期について猶予を設ける理由として「郵政公社の生田正治総裁がかねて2007年4月にはシステム対応が間に合わないとしているため。自民党内でも慎重な対応を求める声が根強い」と書かれている。

なるほど、郵政民営化情報システム検討会議は議論の末に「できる」と報告したが、実際はなかなか大変なのだな。経営統合や組織改革をしようとするとき、情報システムは経営の足を引っ張りかねない厄介な代物だ…。もしこのような感想を抱かれた読者がおられたら、それは誤解である。

そもそも「2007年4月の民営化時に情報システムを準備できる」あるいは「準備できない」という文はいずれもあまり意味がない。前提条件が書かれていないからである。生田総裁と郵政公社は彼らなりの前提条件に基づき「2007年4月までにはシステム対応ができない」と主張した。一方、郵政民営化情報システム検討会議は「2007年4月に間に合うように前提条件を変えればよい」とした。本来、システムに経営が左右されるのではなく、経営がシステムを従えなければならないから、これは筋が通った意見だ。

理想の対応ではなく暫定対応を選択

それでは具体的な前提条件を、郵政民営化情報システム検討会議が2004年12月27日に出した報告書から引用してみよう。この報告書は「郵政民営化」のページから入手できる。

郵政公社はシステム対応に「最低3年を要する」と主張した。その前提は、「郵政公社を4社に分けて各社ごとのシステムを別々に用意する」というもの。例えば「郵便局業務を担う窓口ネットワーク会社のために、郵便局の運営を一元的に把握管理するシステムを新規に構築」、「事業会社ごとに人事や財務システムを用意」、「事業会社間の手数料計算」など。確かにこれらは4分社によって新たに必要となるシステムの機能である。

これに対し、郵政民営化情報システム検討会議は「2007年4月までにできる範囲」を提示するよう要請した。つまり「理想的なシステム対応」ではなく、業務遂行に最低限必要な「暫定システム対応」を求めたわけである。郵政公社は「2005年6月末までの間に、システム対応作業の前提条件が決定される」という前提を追加したうえで、2007年4月までに準備できるシステム対応の内容を提出した。

それによると「個別郵便局における日次の資金管理」、「納税事務」、「預金保険料算出」、「中間決算、年次決算」は可能だが「管理会計に係る各種計数の把握(特に窓口ネットワーク会社)」、「四半期決算、月次決算」などが不可能という報告であった。同時に郵政公社は暫定対応に関するリスクを指摘し、リスクを回避するために「公社外で決定されるシステム開発に必要な業務要件を、2005年6月末までに確定すること」などを求めた。

郵政民営化を進める大前提は関連法案が成立することであり、法案の成立が遅れたり、民営化の方法が変わったりすれば、システムに大きな影響が出る。こう考えると郵政公社としては軽々に「システム対応可能」とは言えない。いったん「できる」と言ってしまうと前提抜きに「できる」という言葉が独り歩きし、後から条件が変わったと主張しても「できると言ったじゃないか」と言われかねない。

検討会議は郵政公社の回答を吟味し「日本郵政公社と郵政民営化準備室等の関係当局が緊密な連携を図る」ことでシステム対応の準備を進められると結論づけた。法律の成立までは何が起きるか分からない。しかし法律ができた後の政省令については、政省令の成立前から話し合い、郵政公社がシステム対応に必要な情報を前倒しで入手できるようにしようという考え方だ。

さて、これは何を意味するのだろうか。

next: 「私の主張通り」と生田総裁が語ったわけ

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