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システム一本化で押し切った東京三菱銀の畔柳頭取、「ITに強すぎるがゆえの苛立ち」

2005年3月3日

10月に合併する東京三菱銀行とUFJ銀行の情報システム統合方針が決まり、ほぼすべてのシステムを東京三菱銀のものに一本化することになった。ただし、統合方針を現場の情報システム部門がなかなかまとめきれず、東京三菱銀の畔柳信雄頭取が決着をつけた格好だ。

統合方針をまとめるまでの顛末(てんまつ)を好意的に評すれば、我が国の金融機関トップの中で最もIT(情報技術)に強い畔柳頭取がトップダウンで決めた、となる。畔柳頭取は情報システム部門の実務経験があり、さらにシステム担当役員として三菱銀行・東京銀行のシステム統合を指揮した成功体験を持っている(本欄2004年8月3日付「『エンジニアこそ本流』、7年後に分かった東京三菱銀トップの真意」を参照)。

いっぽう、批判的に解説すれば、あまりにもITに詳しい畔柳頭取の存在ゆえに、かえって東京三菱銀とUFJ銀の間がぎくしゃくした、とも言える。強烈な成功体験を持つ経営者が、いちばん得意としている領域でかえって手こずるというのは、歴史上散見される事例である。

「東京三菱銀システムかUFJ銀か」ではない

決定の過程を見る前に、今回、東京三菱銀とUFJ銀がシステムを巡って決めなければならなかったことを整理しておこう。まず巷間報道されていた「東京三菱が採用している日本IBM製システムか、UFJ銀が採用している日立製作所製システムか」という問題設定は間違っている。

両行が採用しているシステムはそれぞれ、両行の行員が開発したものであって、コンピューターメーカー製ではない。正しくは、旧・三菱銀行の行員が開発したコンピュータープログラムが日本IBM製コンピューターの上で、また、UFJ銀の前身行の一つである旧・三和銀行の行員が開発したプログラムが日立製コンピューターの上で動いているのである。

次に「三菱銀製システムか、三和銀製システムか」という問題設定も適切ではない。重要な問いは「現行システムを一本化するか、新システムを開発するか」であった。東京三菱銀とUFJ銀は合併して一つの銀行になるわけで、最終的に情報システムも一つにする必要がある。その場合、現在使っている三菱銀製システムあるいは三和銀製システムのどちらかを残し、もう一方を廃棄するやり方と、新銀行用の新システムを開発してそれを利用するやり方があった。後者の場合、乱暴に言えば、現行の三菱銀製システムと三和銀製システムの両方を廃棄し、新システムへ切り替えるということである。

もし現行システムを生かすのであれば、存続させるシステムは三菱銀製にせざるを得ない。三菱銀製システムが三和銀製システムより優れていようが劣っていようが関係ない話である。存続行は東京三菱銀なのであるから、事務の仕組みは東京三菱銀に統一される。従って事務を支える情報システムも三菱銀製ということになる。システムは事務に従い、事務は経営に従うのである。

しかし理想的なやり方は新システムへ移行することであった。そもそも三菱銀製システムにしろ、三和銀製システムにせよ、根幹部分はともに20年近く前に設計・開発されたものである。一長一短はあっても、ともに古いことに違いはない。しかも金融ビジネスの規制緩和に伴って、これから新しい商品を次々に開発する必要がある。できれば古いシステムへの一本化作業などやめて、新しいシステムの上で新商品を開発していきたいところだ。それに現行システムを一本化するとなると、みずほ銀行や三井住友銀行が既に完了した作業を今からやるという印象を与えてしまう。

東京三菱銀もUFJ銀もシステムの将来計画をそれぞれ持っており、できれば旧システムへの一本化は避けたいという考えがあったはずである。しかしある段階から、東京三菱銀は急速に、現行システムへの一本化に傾く。新システムを開発するとなると、開発している間、二つの旧システムを併用しなければならず、コスト削減がなかなかできないと判断したのであろう。実際、2月18日に発表した合併計画案の大半は、人員削減と店舗統廃合によるコストダウンに関するものであった。またUFJ銀の事務及びシステムに関して東京三菱銀側が納得できない点があったという説もあるが、その詳細は不明である。

next: それぞれの立場ゆえに意思統一が難しい

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