中鉢良治次期社長に聞く「ソニースピリットはよみがえるか」(下)
この連載では、ソニー回復のキーワードは、ソニースピリットの回復にあるとして取材を進めてきた。ソニースピリットの復活を目指して今後の舵取り役を担うのが中鉢良治次期社長である。中鉢氏は、復活を目指す上での最重要ポイントはカスタマービューポイントだと語る。
■これまでのインタビューの中で、中鉢さんは、カスタマービューポイントという言葉を何度も使いました。しかし、これは「言うはやすし、行うは難し」ではありませんか。
中鉢 確かにそうです。具体策にどうするのか、が重要ですね。私はまず、顧客が何を欲しているのかをとらえた上での商品戦略が必要だと思っています。デジタルカメラひとつ取っても、高い画素数を求める人、軽さを求める人、液晶の大きさを気にする人、連写機能を重視する人など、いろいろです。中には一眼レフじゃなきゃ嫌だという人もいる。こうした顧客の様々な要望にミートする製品を出せるよう、製品開発力を徹底的に鍛えていかなくてはならない。
また、最前線でカスタマーと接点を持つマーケティング担当者や営業担当者が、カスタマーが欲しがっているものを物づくりの現場に伝え、それを作らせる仕組みをつくらなくてはいけない。ソニーはメーカーです。設計者もいれば、工場もある。お客様が欲しいといったら世界一軽い物、世界一薄いものを作れる会社なのです。これを忘れてはいけない。物づくりは、設計者の専有物ではない。製品は、マーケティング担当者や営業担当者も含めた、ソニー全体で作るものである。
設計者がものを設計して、工場で作って、売るというだけならば、それは商社でいい。むしろ、商社の方が良いものを作る。メーカーとして何を作らなければいけないか、ということを、社員にはしっかり考えてほしい。
次に、完成したものはどうするか。完成品の評価を自分たちでやってはいけない。第三者が評価する仕組みを社内に取り入れ、バイアスのかからない評価する。こういう文化を作りたいのです。いくら良いものを作ったといっても、売れなければ、「虚業」と言わざるを得ません。
メーカーの事業は、物を売って、お金をもらって、初めて成立する。いくら残業して、世界一軽いもの、世界一薄いものを作っても、それが在庫になりましたでは、虚業以外の何物でもない。実業にするためには、カスタマーに購入してもらわなくてはならない。買ってもらうための努力を繰り返し行っていく必要があります。すべての業務、仕組みにカスタマービューポイントを取り入れます。
ただし、ただカスタマーの声を聞いていればいいのか、というと、それではソニーではない。ソニーは、カスタマーの声を聞き、その半歩先を行くものをしっかりと用意しなくてはならない。そこにソニープレミアムがあるのです。
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