上場・成功社長が実践した“超速”テクニック
(永井 弘=編集委員室編集委員)
2006年もIPO(新規株式公開)ブームが続きそうだ。東証マザーズや大証ヘラクレスといった新興市場では、起業してから“超速”でIPOを果たすオーナー企業が非常に多い。その上場・成功社長に、起業と企業成長に関する「ツボ」を披瀝してもらおう。なお、詳しい関連情報は近著の「株式公開でスピードサクセス!-上場・成功社長が実践した“超速”テクニック39-」を参照してもらいたい。
あえて縮小市場に進出する
吉と出るか、はたまた凶と出るか──。商売は実際にやってみないと結果は分からない。でも、せっかく起業するなら、勝てる可能性の高い分野に打って出たい。分野選びは最初で、かつ最大の関門だ。
起業するなら、マーケットが大きくなる分野に進出する──。これはもちろん正解だが、実は答えは一つだけではない。では、もう一つの答えとは? “超速”を実現した上場・成功社長に解答してもらおう。
首都圏でカラオケ店26軒をはじめ、ビリヤード・ダーツ遊技5軒、まんが喫茶(複合カフェ)7軒を運営する鉄人化計画。この風変わりな社名を持つ新興企業のトップは、オーナー社長の日野洋一氏(38)だ。
日野氏は北海道大学法学部を卒業後、長期信用銀行(現新生銀行)に入行した。96年に同行を辞めて、愛媛県で実家が経営する会社の経営に参画する。その後、上京して、縁もゆかりもないカラオケ店の運営を目的とする鉄人化計画を99年12月に設立、翌2000年4月に1号店をオープンした。店舗展開は急ピッチで、売り上げもうなぎ登り。会社設立から4年半後の2004年7月には東証マザーズ市場への上場を果たした。
それにしても、なぜ日野社長はカラオケ・ビジネスを選んだのだろうか? というのも、鉄人化計画が設立されたころ、既にカラオケ市場のパイが縮小していたからだ。全国カラオケ事業者協会によると、日本のカラオケ人口は94年の5890万人をピークに減少を続けており、2000年には5000万人を割り込んだ。
成長市場ではなく、あえて縮小市場へ新規参入した理由について日野社長はこう答える。
「確かにカラオケ店の市場規模は縮小傾向にある。参入当時は約6500億円だったものが、現在は約4500億円までしぼんだ。にもかかわらず、カラオケ店の市場に進出したのは、寡占化が進んでいなかったからだ。つまり、中小零細業者が大半を占めるのがカラオケルーム市場。だから、ノウハウの蓄積がなくても出て行けるし、優位性を発揮できる何かを持っていれば必ず勝てる! と考えた」
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