「データ分析で開発生産性の見える化を実現」、富士通の坂下常務理事
不採算プロジェクトの増加に困惑する富士通。2003年度に約600億円、2004年度に約280億円もの損失を見込んだ数字を計上している中で、ソフト・サービスの営業利益率は2003年度の6.5%から2004年度は5.4%に低下した。この中でSI(システム・インテグレーション)サービスの利益率は公表していないが、その数字を大きく下回るのは間違いないだろう(2004年度のソフト・サービスの中でソリューション/SIの売り上げは9207億円で、うち国内は約5000億円)。
そこで富士通は3年前から総合システム開発体系SDASの本格的な整備に着手した。開発の標準化を確立することで生産性と品質を高めるためだが、社内のSEやプログラマがSDASをなかなか採用しない雰囲気が根強くあったようだ。それに「いくら生産性が上がる」と説明しても、慣れ親しんだ従来方法のほうが使いやすいし、「SDASで本当に上がるのか」という疑問を持つ技術者が少なからずいたという。
だが、開発環境の変化から不採算プロジェクトが目立つようになってきたし、プロジェクトを通じて技術者を育成していくことが段々難しくなっている。共通技術本部副本部長を努める坂下善隆常務理事は、生産性がなかなか向上しない原因を次のように見ている。
「COBOLから4GL(第4世代言語)になったときに一度、変になった。OA系システムなど限られたものにしか使えないのに適用範囲を広げてしまった。さらにクライアント・サーバー(C/S)時代になり、Visual Basic(VB)が出来てきたが、これをうまくコントロールできなかった。それでもVBは画面周りで、サーバーはCOBOLでやってきた。それがJ2EE(Java 2 エンタープライズ・エディション)になり、サーバーもJavaで開発する。人もメインフレーム時代から入れ替わり、大型プロジェクトになると誰がどこを書いたのかが分からなくなってしまった。下請けのSEは同じような教育を受けていないし、作り方も異なるからでもある。それなのに納期は半分を要求されてきた」。
しかもプロジェクトの質も変わっている。富士通が2004年4月から12月までにあった大型案件を調べたところ、Web系システムが53%を占めた。その98%がJavaで、急速な勢いで増えているという。ちなみにホスト系は12%。C/S系は35%。メインフレーム時代とは異なる生産性向上策を、主流となったWeb系にSDASを適用することで改善していくしかないのだ。そのためには「データをおさえて、数字で開発生産性の見える化を行うこと」と坂下氏は判断し、生産性に関するデータ収集と分析を徹底的に進めたわけだ。
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