製造物責任法とコンプライアンス
(千葉 博=弁護士:矢野・千葉総合法律事務所)
消費者保護の法律ということで、これまで、消費者契約法、金融商品販売法とお話してきました。今回は、より広い業種で関連すると思われる、製造物責任法の概要についてご説明したいと思います。
製造物責任法とは
たとえば、消費者が、電気製品を使っていて、その製品の欠陥がもとで怪我をしたとしましょう。この消費者は、誰に対して、どのような請求ができるでしょうか。
まず、直接自分にそのような製品を販売した小売店に対する損害賠償請求が考えられます。しかし、契約上の責任として損害賠償責任を追及するには、相手方に故意又は過失がなければならず、通常は、単に商品を仕入れて販売したにすぎない小売店に、故意又は過失は認めることはできません。
それでは、メーカーに対してはどうかといえば、欠陥があった以上メーカーに過失があった可能性は認められるのでしょうが、メーカーと消費者との間には契約関係はないので、契約責任ではなく、不法行為責任の追及という形をとらざるを得ず、これでは消費者側がメーカーの故意又は過失を立証しなければいけなくなります。しかし、複雑な電気製品の製造について、消費者がメーカーに故意又は過失のあったことを立証するなど、通常はできないと思われます。
このように、従来の枠組みでは消費者の保護に著しく欠ける結果になったことから、立法による対処を図るべく規定されたのが製造物責任法なのです。
製造物責任法の概要
製造物責任法は、製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について規定する法律です。
具体的には、製造又は加工された動産について欠陥があることにより、他人の生命・身体・財産に損害を与えた場合に、製造業者等が損害賠償責任を負うとするものです。被害者である消費者は、製造物に欠陥があったことを立証すれば足り、製造業者等に故意過失があったことを立証しなくてよい点で、格段に消費者保護に資することになります。
逆に、企業の側からすれば、この「欠陥」があるとされる製造物を流通に置かないかがポイントになります。
「欠陥」とは、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいいます。安全性を欠いているというと、物自体に問題がある場合を考えがちですが、これに限られるものではありません。
next: 損害賠償請求の要件となる「欠陥」とは…
この連載のバックナンバー バックナンバー一覧へ 画面先頭に戻る
- 特許のライセンス契約 (2005/09/01)
- 製造物責任法とコンプライアンス (2005/08/22)
- 特許侵害されたときの救済策 (2005/07/29)
- 消費者契約法を読み解く(2) (2005/07/19)
- 特許権の取得と特許侵害(5) (2005/06/30)

