消費者契約法を読み解く(2)
(千葉 博=弁護士:矢野・千葉総合法律事務所)
第29回で説明してきた消費者契約法は、消費者が事業者とは情報の質や量、交渉力と言った点で、圧倒的な差があり、不利益な契約をしてしまうことも多いため、消費者に契約の取消権を与え、また、契約を無効とすることによって、消費者の利益を守ろうとする法律でした。
今回は、契約の無効主張が認められるケースについてお話しましょう。
1 消費者契約法上、消費者による契約の無効主張が認められる場合
消費者による契約の無効主張が認められる場合は次のとおりです。
1 事業者の損害賠償の責任を免除する条項を無効とする場合
2 消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項などを無効とする場合
3 消費者の利益を一方的に害する条項を無効とする場合
順に説明しましょう。
まず、「事業者の損害賠償の責任を免除する条項を無効とする場合」です。この中には、事業者の故意過失により生じた損害の賠償責任を免除する条項や、瑕疵担保責任による事業者の責任の全部を免除する条項があります。
よく、駐車場などで、「当駐車場内で起こった事故については、当方は一切責任を負いません。」などという掲示板を見かけますが、その事故に関して駐車場の側にも過失があった場合には、駐車場側は責任を免れないということになります。
また、瑕疵とは目的物に欠陥があることをいいますが、契約書のこのような瑕疵があっても一切の責任を負わないとうたってあっても、事業者は責任を免れないわけです。
次は、「消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項などを無効とする場合」です。「損害賠償の予定」とは、当事者間の予めの合意により、発生した損害の多い少ないにかかわらず、一定の金額の損害賠償をなし、それ以外の請求はしないとするものをいいます。実際に発生した損害が少なくとも、所定の金額は賠償請求でき、この場合には請求する側の得となりますが、実際に発生した損害が大きい場合には、所定の金額さえ支払えばすむわけですから、賠償をする側に得になるわけです。
消費者契約法は、消費者保護の契約ですから、消費者に過度の損害賠償義務を負わせる条項を無効にすることになります。具体的には、契約解約時に、事業者の平均的な損害を超える違約金を請求しうる旨を定めた条項や、遅延利息につき年14.6%を超える利率を定める条項がこれに当たります。
最後は、「消費者の利益を一方的に害する条項を無効とする場合」です。信義則に反して消費者の権利を制限し、または消費者の義務を加重する条項がこれに当たります。たとえば、いかなる場合にも消費者側からの解約は出来ないとする条項などがこれに当たります。
一つ一つの例をみると、無効となってもおかしくないと思えますが、契約の条項を無効とするにはそれなりの根拠が必要であり、民法等の定めでは十分に消費者の保護が図れないことも考えられることから、特別に規定を設け、無効となることを明確にしたのです。
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