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その理由のひとつが、電気買い取り政策などのインセンティブの弱さだ。太陽光発電導入量世界一のドイツでは、企業や家庭が太陽光発電パネルを設置するなどした場合、そこでつくられた電気は電力会社が買い取り、買い取り価格を通常の電気料金に上乗せする。これは法律で義務付けられていて、電力会社は20年にわたって固定価格ですべてを買い取らなければならない。

消費者は当然、太陽光発電をつぎつぎと導入していった。こうして政策によって広がった市場に、ドイツの太陽電池メーカーは資本を投入して売上げを伸ばし、世界首位を奪ったのである。

電力会社が中心となって太陽光発電を進めるEU

欧米では電力会社が、太陽光発電など新エネルギー開発に積極的だ。その背景には、CO2排出量についての計算方法の違いがある。 「EUやアメリカは、発電所から出ているCO2をもとに計算します。他国と地続きのEUやアメリカでは、電気の輸出入があるため、各国の責任範囲を明確にするために発電所で計算しているんです。

一方、電気の輸出入がない日本では、家庭など、消費しているCO2をもとに計算される。その違いが、エネルギー政策の違いにつながっています。

EUでは、電力会社が中心となって太陽光発電を進めています。大規模だから、1つの契約でたくさんのパネルが購入される。

日本は家庭が1軒ごとにパネルを屋根に設置するケースが多い。パネルの購入単位も小さくなっています」(小島氏)

日本のメーカーが世界で戦うためには、まず日本国内での内需を喚起する必要がある。太陽光発電産業の「地産地消」を推進していけば、パネルの価格も下がる。価格が下がれば、輸出にも強くなっていく。

環境省はいろいろな政策を実施しているけれども、環境ビジネスという考え方がまだまだ弱い。環境保護のもとで企業がどう成長していくか。政策で新エネルギーの普及を後押しして、先進国型のモデルを日本で構築すべきだ。

猪瀬 直樹(いのせ・なおき)

作家。1946年、長野県生まれ。

1987年『ミカドの肖像』で第18回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。『日本国の研究』で1996年度文藝春秋読者賞受賞。以降、特殊法人などの廃止・民営化に取り組み、2002年6月末、小泉首相より道路関係四公団民営化推進委員会委員に任命される。政府税制調査会委員、東京工業大学特任教授、テレビ・ラジオ番組のコメンテーターなど幅広い領域で活躍中。東京都副知事。最新刊に『道路の決着』(文春文庫)がある。

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