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役所や議会にはびこる「連続性」「一貫性」の体質

議員宿舎問題で浮き彫りになったのは、悪しき前例主義である。僕が建設計画の見直しを口にすると、推進派は「これまで積み上げてきたものを壊す気か」と批判する。しかし、昨日正しければ、それは今日も正しく、明日も正しい、という考え方はおかしい。

民間では、「朝令暮改」が当たり前だ。過去の「積み上げ」にこだわらずに、常に、より良い道を選ばなければ競争に負けてしまう。僕の発想は民間的だから、そのことによって役所や議会から批判を浴びるのは宿命だと思っている。

役所や議会の体質は、「連続性(continuity)」「一貫性(consistency)」で言い表せる。「連続性」と「一貫性」が悪しき前例主義と事なかれ主義を生んではいまいか。積み重ねを強調するあまり、都民や国民のメリットとは別の方向を進んでいないか、とチェックするのが僕の役割だろう。

役所では、問題解決がされないまま、いろいろな問題が放置されがちである。一人ひとりの職員はがんばっていても、システム全体として事なかれ主義になりやすい。そういった古い役人文化に対して、僕は「異化作用」の役割を果たしているつもりだ。東京都初の民間副知事として、これからも東京都に新たな文化を取り入れていきたい。

猪瀬 直樹(いのせ・なおき)

作家。1946年、長野県生まれ。

1987年『ミカドの肖像』で第18回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。『日本国の研究』で1996年度文藝春秋読者賞受賞。以降、特殊法人などの廃止・民営化に取り組み、2002年6月末、小泉首相より道路関係四公団民営化推進委員会委員に任命される。政府税制調査会委員、東京大学客員教授、東京工業大学特任教授、テレビ・ラジオ番組のコメンテーターなど幅広い領域で活躍中。東京都副知事。最新刊に『道路の決着』(文春文庫)がある。

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