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税財源を徹底的に洗い直す「聖域なき税制改革」を断行すべき

カギとなるのは消費税論議である。2009年度に基礎年金国庫負担が現在の3分の1から2分の1に引き上げられるため、その財源として消費税増税がささやかれてきた。しかし、与党も野党も選挙のことを考えると、消費税増税とは言いにくい。そこで、消費税増税の代わりにたばこ税増税が急浮上した。

政治家は、安定的な税収確保について真剣に考えずに、たばこ税増税へ逃げている。しかし、いくら逃げ回ろうとも、消費税論議を避けることはできない。なぜなら、タイムリミットが近づいているからだ。

地方分権改革推進委員会では、地方消費税を含む地方の税財源問題について、来春にも第三次勧告を出す。これは霞が関経由ではない、地方独自の税財源をしっかり位置づけるための大切な議論となる。もちろん、霞が関や永田町にもきっちり議論に参加してもらう。少なくとも消費税に占める地方消費税の割合をいくらにするかについて、早急に議論を始めなければならない。

たばこ税増税に逃げるのではなく、かと言って安直に消費税増税をするのでもなく、正面から消費税を含む税制のあり方について抜本的な議論をしてもらいたい。いま問われているのは租税哲学である。たばこを1箱1000円にするとか、消費税率を3%上げるという単純な話ではない。

手品のような話をして、財源がパッと現れたように見せれば、最初のうちはお客も驚いて喜ぶかもしれない。しかし、手品はネタがわれたら終わり。所詮は一瞬の余興にすぎない。もちろん歳出増を求めるバラマキなどもってのほか、無駄遣いのカットはいうまでもないが、手品で国民をごまかすのではなく、税財源を徹底的に洗い直す「聖域なき税制改革」を議論すべきだ。

猪瀬 直樹(いのせ・なおき)

作家。1946年、長野県生まれ。

1987年『ミカドの肖像』で第18回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。『日本国の研究』で1996年度文藝春秋読者賞受賞。以降、特殊法人などの廃止・民営化に取り組み、2002年6月末、小泉首相より道路関係四公団民営化推進委員会委員に任命される。政府税制調査会委員、東京大学客員教授、東京工業大学特任教授、テレビ・ラジオ番組のコメンテーターなど幅広い領域で活躍中。東京都副知事。最新刊に『東京からはじめよう』(ダイヤモンド社)がある。

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