「ガーデンシティ」から「コンパクトシティ」へ
話を大井第一生命館ビルに戻そう。大井第一生命館ビルの敷地は約60万平方メートル。社屋や社員食堂のほかに、社宅・寮・各種スポーツ施設などがあり、住宅と会社が接近していて通勤に時間がかからない。余暇の時間は増え、本を読んだりスポーツをしたり、絵に描いたような理想的な生活が送れるだろう。まさに「ガーデンシティ」の考え方にもとづくもので、大井第一生命館ビルは純粋に理想を追求したのだ。
この構想を発案・実行したのが、田園都市の理想を追った矢野恒太の息子・一郎だった。この移転は画期的な決断だったに違いない。しかし、再び理想は挫折したかのようである。
だが、田園都市の理想は、少子高齢化時代のいま、徒歩圏内で病院や市役所に行けるエリアに集約する「コンパクトシティ」という都市モデルにも通じている。大井町に残された近代都市の遺産をなんとか残せないものだろうか。
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