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田園都市づくりの理想、散る〜第一生命、大井事業所の本社機構を東京へ移転

2008年6月11日

都心から高速を飛ばして1時間ほど。富士の稜線が迫力を増す神奈川県大井町の小高い丘の上に、第一生命の本社ビルが建ったのは、今からちょうど41年前だった。都心から郊外へ―。都市機能の分散と地域社会の自立が叫ばれ始めていたその時期、「大井第一生命館(大井本社)」ビルこそは、そのパイオニアとして僕の記憶には刻まれていた。民間企業にして、率先して地域社会への定着を目指したその先駆者が、ついに大井町から“撤退”するのだという。

1969年(昭和44年)に公開された映画『超高層のあけぼの』には、霞が関ビルが完成するまでのドラマが描かれている。佐野周二、三宅邦子、平幹二郎、池部良、丹波哲郎、佐久間良子など、当代の人気キャストが数多く出演していた。この頃の東京には、高層ビルといっても、ほかに目に付くのは、新宿の京王プラザビルと浜松町の貿易センタービルくらいのものだった。

そんな、高層ビル黎明期ともいえる時代に、神奈川県の丘陵に、巨大なビルが建ったのである。大井第一生命館ビルだ。今でも東名高速道路の大井松田インターチェンジ付近から見える。67年に竣工されたこのビルは地上18階建てだが、高さ75メートルもある。75メートルは、25階建てぐらいに相当する。当時、東名高速道路を走っていて、「あれは何だろう」と不思議に思い、近くまで見に行ったことがある。周りは山と畑ばかり。そんな場所になぜ?

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