世相を活写した西条八十作詞の『東京行進曲』
『こころの王国』の文庫版の帯にこう記しておいた。
昭和初年―
サラリーマンが誕生する。
映画館が軒を並べる。
大きな工場ができる。
台湾や朝鮮半島を植民地として抱える。
そんな新しい時代を
「まるごとつかんでやる」
と考えたのが
菊池寛だった。
詩人で作詞家の西条八十は、著書『唄の自叙伝』によると「東京のモダン風俗の戯曲を謡で書いてやろう」と考え、『東京行進曲』(昭和4年)を作詞した。その第4番の詞を引こう。
「シネマ見ましよか お茶のみましよか
いつそ小田急で 逃げましよか
変る新宿 あの武蔵野の
月もデパートの 屋根に出る」
「いつそ小田急で逃げましよか」などは、前述した山手線の環状運転開始によって、東急や西武、東武、小田急といった私鉄が誕生し、山手線の郊外に延び始めた様子をよく表している。
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