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このままではジャパン・パッシングになってしまう

現在、日本との航空協定を締結済みで、成田空港への乗り入れ、または増便を希望している国は計35カ国にのぼる。各航空会社は順番待ちをしているのだから、成田空港でさばききれない分は、羽田空港を国際化して対応するのが正論だろう。成田と羽田の双方がウイン・ウインの関係が築けるはずなのに、その機会を逃している。

国土交通省航空局も国際化の理屈はわかっていても空港政策の秩序を守るために必死になっている。羽田空港が国際化が本格的になったとき、伊丹空港も同じように国際化を要求してきたらどうなるか。交通の便が悪い関西国際空港の利用率は激減するだろう。羽田は一種の決壊点で、ここが崩壊すれば全体の秩序が崩れ、国土交通省航空局が差配する日本の空港政策が維持できなくなると不安になっている。

だが、このままではジャパン・パッシング(日本素通り)になってしまう。先ほど言ったように、航空会社は利用客のニーズに合わせて飛行機を飛ばす。採算が合うか合わないかが判断基準なのだ。これから、本当の自由化が始まったときに、今のような官僚的な感覚で仕切られている日本の空港はどうなるのだろうか。

急速に発展しているアジア諸国とのビジネス客は時間が惜しい。都心に近い羽田空港から早朝の便で東南アジアに向かい、翌日の深夜に戻る。また、上海くらいならば日帰りもできるかもしれない。世界の空港を新幹線の駅にたとえると、このまま東京を「のぞみ」が停まらない「こだま」の停車駅にしてはならない。

猪瀬 直樹(いのせ・なおき)

作家。1946年、長野県生まれ。

1987年『ミカドの肖像』で第18回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。『日本国の研究』で1996年度文藝春秋読者賞受賞。以降、特殊法人などの廃止・民営化に取り組み、2002年6月末、小泉首相より道路関係四公団民営化推進委員会委員に任命される。政府税制調査会委員、東京大学客員教授、東京工業大学特任教授、テレビ・ラジオ番組のコメンテーターなど幅広い領域で活躍中。東京都副知事。最新刊に『東京からはじめよう』(ダイヤモンド社)がある。

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