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石原都知事「困難な道ではあるが、ここで投げ出すわけにはいかない」

3月10日月曜日、新銀行東京が調査報告書(概要)を公表した。調査は、弁護士などが8カ月以上にわたって実施。経営不振を招いた原因として、デフォルト発生を容認するかのような旧経営陣の非常識な経営方針であったこと、6カ月超のデフォルトの発生を不問としながら、営業担当者にたいし融資実行実績に応じて最大年間200万円もの成果手当てを支給していたことなどが明らかにされた。

3月11日の都議会予算特別委員会で自民党の川井重勇都議が「知事の責任を全うする方法をお伺いします」と質問している。

石原都知事は「私のとるべき道は、新銀行について最悪の事態を回避」することだと述べた。

「仮に清算や破綻処理となれば、現在、懸命に頑張っている1万3000もの中小企業の経営に甚大な影響を与えることは必至だ。困難な道ではあるが、投げ出すわけにはいかない」

なぜ都の追加出資か

問題の仁司代表執行役が辞任した2007年6月以降、どんな再建の方策があったのか。

「都の出資を前提とせず、民間金融機関等との統合や資本提携を念頭に、国内銀行5行、外国銀行を含む外資系6社と交渉を行ってきた。また、民間資本と都との共同出資についても調整を行ったが、現段階では調うまでに至っていない」(佐藤産業労働局長)

わかりにくい言い回しだが、都の出資を前提にしなければ外資系の金融機関も含めて業務提携は実現しなかったという説明をしている。残された新銀行が、追加出資もなくそのまま営業をつづけるとどうなるか。

「開業3年となる今年3月期の累積損失は1016億円に達し、資本の85%を棄損する見込み。このままでは自己資本比率は来期中に国内行の健全化基準である4%を割り、金融庁から業務改善命令を受ける水準に落ちる」(日経新聞3月17日付)

さらにもし銀行の財務状況が悪化したら、破綻処理となり我が国初のペイオフ発動という事態にもなりかねない。ペイオフの影響はどれだけか。

「(新銀行では)1月末現在、1000万円を超える部分の預金は、法人、個人合わせて9610件・477億円に上り、個人顧客だけでも9523人・315億円に上る。また、新銀行東京の顧客は無担保融資が中心であることや赤字・債務超過先が多く、(略)事業継続が困難になる。法的には都の負担は生じないが、わが国で最初のペイオフの実施に伴う影響は図りしれず、国民経済上多大な損失が発生することは疑いがない」(佐藤産業労働局長)

そうならないための止血措置として、400億円の追加出資が提案されている。

もちろん、営業をつづけなければよいではないか、という疑問もあるだろう。民主党の山下太郎都議が「事業清算をした場合はいくらの費用がかかるのか」と質問をしている。

「清算公表により融資先のモラルハザードが起きる可能性があり、融資返済の滞りから多額の損失の発生が予想される。(略)想定される損失の額は1000億円にも及ぶものと推計できる」(佐藤産業労働局長)

 

3月25日火曜日には締め括り総括質疑があり、26日水曜日に採決が行われる。

猪瀬 直樹(いのせ・なおき)

作家。1946年、長野県生まれ。

1987年『ミカドの肖像』で第18回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。『日本国の研究』で1996年度文藝春秋読者賞受賞。以降、特殊法人などの廃止・民営化に取り組み、2002年6月末、小泉首相より道路関係四公団民営化推進委員会委員に任命される。政府税制調査会委員、東京大学客員教授、東京工業大学特任教授、テレビ・ラジオ番組のコメンテーターなど幅広い領域で活躍中。東京都副知事。最新刊に『東京からはじめよう』(ダイヤモンド社)がある。

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