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道路特定財源は徐々に一般財源化すればよい

道路特定財源は徐々に一般財源化していくのが適切だろう。最終的に6000億円くらいまで一般財源化することができる。

道路特定財源の年間税収は5兆6000円あるが、小泉内閣発足から毎年、公共事業は3%削減がつづいている。税収が変わらず、道路につかえる額が減っていけばお金が余るのはあたり前だ。

民営化前、毎年3000億円ものお金が道路特定財源から利子補給金という名目で道路公団に対して流れていた。僕は小泉首相に直談判し、2002年度からこの国費投入をやめてもらった。こうして道路特定財源は自動車重量税額に相当する6000億円あまりが余剰となっている。

小泉政権が道路特定財源の一般財源化を打ち出した。安倍内閣は余剰があることを踏まえて、5兆6000億円のうち1800億円を一般財源化した。福田内閣は、一般財源化を積極的に肯定してはいないが、否定もしていない。新年度予算案の1900億円を一般財源化は“足踏み”である。

一般財源化した分は、踏切の立体交差や並木の植樹、電線の地中化なども含めて、福祉や環境対策に使えばいい。

暫定税率を一気に廃止すると地方で失業問題が発生する

暫定税率の問題にもふれておこう。現在、道路特定財源の税収5兆6000億円のうち、5兆円程度を実際に道路に使っている。もし民主党が主張するように暫定税率をすべて廃止すると、税収が3兆円まで減少する。これでは必要な道路もつくれない。

同時に産業構造を考えてほしい。5兆円の道路歳出を3兆円まで激減させれば、地方では失業問題が噴出するだろう。土建国家が正しい、と言っているわけではない。公共事業依存型の地方財政と雇用問題は、道路建設を減らしただけでは解決できないからだ。僕は建設業の農業への進出を勧めたい。しかし転換には時間がかかるのも事実なのである。

現在、全国で500万人が建設業に携わっている。小泉内閣が公共事業をカットし始める前は600万人だった。それが、いきなり3兆円まで減らされたらどうなるか。社会不安を引き起こす可能性が高い。

暫定税率を廃止して、道路財源を3兆円まで減らすという方向は正しい。ただ、それは徐々に金額を減らしながら10年くらいをかけて実現するプロセスだ。その間に、農業やリサイクル業に転業しやすい状況をつくり、500万人が400万人に、そして最終的には300万人くらいになる現実的な政策を打ち出すべきだろう。10年かけて3兆円に削減していくのなら地方にも理解してもらえるはずだ。

現状は、「5兆6000億円を使い切る」という国土交通省や道路族と、先に「ガソリン25円の値下げ」ありきで「3兆円でもよい」という民主党が、両極で議論をしている状態だ。暫定税率から生じる税収を使い切る必要もないし、暫定税率は廃止すべきだがいますぐやめろ、は暴論である。

すぐやるべきことは適正な家賃を課すか、不要な宿舎を売却すること。地道な改革努力を国民に見せなければいけない。

猪瀬 直樹(いのせ・なおき)

作家。1946年、長野県生まれ。

1987年『ミカドの肖像』で第18回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。『日本国の研究』で1996年度文藝春秋読者賞受賞。以降、特殊法人などの廃止・民営化に取り組み、2002年6月末、小泉首相より道路関係四公団民営化推進委員会委員に任命される。政府税制調査会委員、東京大学客員教授、東京工業大学特任教授、テレビ・ラジオ番組のコメンテーターなど幅広い領域で活躍中。東京都副知事。最新刊に『東京からはじめよう』(ダイヤモンド社)がある。

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