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2008年は「フラットな世界」を乗り切るための改革を

2008年1月8日

ちょっと前に『フラット化する世界』という本が話題になった。これが割と面白い。コロンブスのアメリカ大陸発見を契機に、グローバル化が始まった。その後、産業革命がおこり、蒸気機関車、自動車、飛行機などが発明され移動時間が短くなった。距離的にではなく時間的な視点から、「地球は小さくなった」と言われるようになる。そして『フラット化する社会』はその一歩先、地球はフラット(平面)であると説く。

『フラット化する世界』は、「24/7カスタマー」というインドのコールセンターを紹介している。クレジットカードなどを客に薦める発信業務もすれば、苦情を受け付ける受信業務も請け負う。欧米の旅客機の乗客のために紛失した荷物を探したり、パソコンの使い方がわからない顧客の問題を解決したり、すべて電話で応対する。

もちろんオペレーターはインド人だ。しかし彼らは本名を名乗らない。「ジェリーと申します」などと欧米人の名前を使う。英語に関しても、アメリカ英語の研修を受ける。イギリス英語とアメリカ英語は発音が違う。アメリカ英語はイギリス英語ほどきれいに発音しないから、トゥをドゥと発音したり、ウォーターがウォーダーだったりする。ニューヨークから電話した顧客はきっと、オペレーターがニューヨークのどこかにいると信じているだろう。名前や発音の違いで、疑問を持たせない工夫が施されている。

ITの発達により、企業の機能の一部を地方や海外に移すことが容易になった。距離や時間はまったく障害にならない。そして、機能を委託する企業は経費の節減、それを誘致する地方や国は雇用の拡大がはかれる。『フラット化する世界』の主題はこういうことだ。フラットな世界が単純な仕事を吸収していく。昔は、大企業から中小企業へ、そしてさらに小さな会社へ下請けに出すという「縦」の流れがあった。この流れが「横」に展開するようになった。県境を越え、国境も越えていく。

僕の身近でもおこっているフラット化

この考えを進めていくと、総務課や庶務課の仕事は全部アウトソーシングすることができるだろう。「知的労働」と言われる仕事も、安泰ではない。『フラット化する社会』は、アメリカの公認会計士の話を紹介している。アメリカにいる会計事務所は会計作業をインドの会社に外注している。当のアメリカ人の公認会計士は、計算などの単純作業ではなく、クライアントと打ちあわせをして企画を話しあう会議に時間を割く。付加価値の高い仕事に専念するのである。同じように、医者がMRIやCTスキャンで採取したデータの解析をインドの病院に委託する。アメリカの医者たちは、その結果をもとに患者と向きあうことに時間を割く。

フラット化の進行を、僕も感じている。

僕の事務所には、道路公団民営化や特殊法人改革を通じて行政や公団から開示させた資料や取材資料が山のようにある。細かくファイリングし整理して保管してあるが、容量には限界というものがある。これらをどうしたものか、事務所のスタッフとつねづね、頭を悩ませていた。それを聞きつけたIT関係の人が相談に乗ってくれた。彼の提案は「資料を中国で電子データ化して圧縮する」だった。資料をスキャナーで読み取り、電子データ化してCD-Rに書き込む。そうすると、1部屋をまるまる占めている資料がCD-Rなら数十枚で収まる。1部屋がまるまる片付く。スキャンや入力などのアナログな作業は人がやらざるを得ない。これらの作業に、人件費の安い中国の労働力を利用するのだ。

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