地方分権委の提案、国が自治体に課す「基準」は原則廃止
地方分権改革推進委員会が11月16日、「中間的な取りまとめ」を公表した。2010年の春までに制定する新分権一括法の目指す方向性を示した。地方分権改革の道筋で、何が問題になっていて、どう変えるべきかという指針だと思ってもらいたい。翌17日の朝日新聞には「分権ガチンコ勝負 各省の同意 度外視」という見出しが躍った。争点となる最大のポイントは、「国による義務付けや関与の原則廃止」である。
地方分権委員会で繰り返された中央省庁とのやりとり
「眼からウロコ 第2回」で以下のように述べた。
「法律は国会で決めるもの。これに対して省令や通達は役所の行政指導だ。省令は大臣、通達は各局長や課長のハンコひとつあればいいので、比較的簡単に公布することができる。それぞれの自治体がオンリーワンの地方自治を目指そうとするときに、これらが、杓子定規な考えで邪魔をするのだ」
地方分権委員会は今年の4月2日に発足した。まず5月に「基本的な考え方」を取りまとめた。その後、委員が地方自治体からヒアリングしたり、あるいは全国知事会からヒアリングしたりしながら、どのように分権を進めたらいいか議論を深めた。さらに中央省庁にたいしてこのような関与をやめるように再三再四にわたり迫ったが、各省は地方分権などしたくないというのが本音である。
たとえば、特別養護老人ホームの設置基準はこんなふうに義務付けられていることをご存知だろうか。
「入所者1人当りの床面積は10.65平米以上とすること」
「廊下幅は1.8m以上とすること。ただし、中廊下の幅は2.7m以上とすること」
地方自治体は、高齢者が長期入院する療養病床の病院を、利用者のニーズに対応できるように、特別養護老人ホームに転換しなければいけない。山間地では施設の新設は難しいのに、この基準が壁となって転換できないでいるケースがある。10月23日の第24回地方分権推進委員会で以下のようなやりとりがあった。
猪瀬委員:建物も古い家を改築したり、古いお店を改造したりとか、いろんな形で工夫していくときに、寸法がちょっと足りなくなることも充分にありうる。人口減少で、病院でも学校でもいろんな施設でも、余った状態になっているものを何か工夫してつかえないか、というときに杓子定規にはめてしまうと、自治体は工夫しなくなってしまう。基本的にはどこも財政難ですから、杓子定規に決めてしまうと工夫するインセンティブを縛るんです。絶対無駄なお金を使います。だから、国としては、これが望ましいと標準を示すことは正しいが、あとは各自治体で工夫してくださいよということではないですか。
厚生労働省:例えば特養ですと、最終的にそこが生活の場になるということでございますので、やはり一定の水準というものは確保していただければと思っている。
猪瀬委員:厚労省が一定の水準というか、標準を決めれば、だいたいの自治体は従うでしょう。ただ、もうちょっと、と工夫をするところが出てくる。義務づけをすればその工夫の芽を摘んでしまう。それを繰り返して何の意味があるんですか。
厚生労働省:我われとしては、最低水準、最低水準という意味は、利用者の、高齢者の、お年寄りのサービスという観点から、やはりそれは確保しなければいけないんではないかというものを今、基準として定めさせていただいている。
猪瀬委員:東京と沖縄では住む環境が全然違うのに全国一律の基準はおかしい。
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