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格差政策は、“与える”でなく“育てる”で

2007年11月20日

今回は、最近よく耳にする「格差社会」について考える。

日本の社会には二つの「格差」がある。ひとつは65歳以上の高齢者の間にある格差。土地や金融資産を持つ人と持たない人。金融資産だけでなく、年金を多くもらえる人と、ほとんどもらえない人がいる。もうひとつの格差がいま25歳から35歳くらいの年齢層が被っている格差だ。彼らのなかには、就職氷河期の影響で就職の機会を逃したあと、再チャレンジの機会を逃したまま充分な収入がいまだに得られないでいるケースがある。

最近、「格差」という言葉があいまいに使われ過ぎている。この二つ以外のものまで、なんでも「格差」にしてしまっている。企業が増収増益の好業績を出している割に、賃金が伸びない。物価の伸び率もゼロに等しい。中国の安い人件費との競争があるためで、なんとなく全体的に豊かになった、という実感に乏しい。あたかも全国的に格差があるような錯覚をおこしてしまうのだ。

東京都が3月、都民税の所得割部分を免除する案を提示

東京都が今年3月、低所得者の税負担を減免する案を発表した。知事選前だったために、石原慎太郎都知事の3期目の公約とみられた。しかし、この案は、その後、姿を変え、「進化」をしてつぎの都議会に提案されることになった。この政策の変遷を追いながら、格差対策はどうあるべきかを考える。

東京都が最初に出した「低所得者の個人都民税減免」の条件は、「収入が生活保護受給者と同水準の都民」。免除するのは、前年の所得に応じて課税する「所得割」分。定額で課税する「均等割」の1000円だけを納めればよい。たとえば年収270万円の母子にかかる個人都民税1万9500円のうち、1万8500円が免除になるという計算だった。

三位一体の改革によって生じた低所得者の負担増を緩和しようと考えた

石原都知事は当時、「生活保護を受ける水準の収入しかない人が、三位一体の改革によって、新たに負担を負うのは気の毒で不公平。現行税制のひずみを是正する。これは一種の福祉だと考える」と目的を語っている。

三位一体の改革では、国から地方へ渡す補助金を4兆円削減した。その分、国税である所得税から地方税である住民税に3兆円移譲するかたちで地方の税源を増やした。地方が自ら徴税することになるから、地方分権に沿った税の取り方にはなった。

それまでの住民税の税率は、所得に応じて5% 10% 13%の3段階だった。これを東京都と市区町村がわける。この税率が三位一体の改革で一律10%になった。

一方で国民が負担する国税の所得税は減っているから、所得税と住民税の合計では増減税均衡の計算だった。しかし、低所得者はそもそも所得が低いので支払っている所得税もすくないから、減税の恩恵はすくない。むしろ所得税が全くかからない程度の収入しかない低所得者でも、地方税の住民税については必ず10%かかる。これでは低所得者層に増税負担感が効きすぎるのではないか、という配慮から「低所得者の都民税減免」という負担軽減案が練られたのだ。

低所得者にも住民税を負担してもらうという考え方は必ずしも間違っていない。住民税は、ゴミを片付けたり、救急車や消防自動車を派遣するなど、地方自治体が提供するサービスにかかる費用だ。低所得者であっても、身近なところでその恩恵を受けている。

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