都営地下鉄と東京メトロの一元化を改めて考える
先日の都営大江戸線の停電についてマスコミの報道におかしなものが交じっていた。「効率を追求するあまり安全性をおろそかにしている」といった、パターン化された報道が眼に付いた。
2000年に全線開通した都営大江戸線のトンネルは、従来の地下鉄路線よりも口径が小さい。車両も小型化している。これを取りあげて、「過度な混雑を誘発している」とか、「効率を追求するあまり安全性を軽視し、口径を小さくした」という論調の報道があった。これらは、論点がずれているとしか言いようがない。
従来の地下鉄トンネルは直径7.3メートルだ。いっぽう、大江戸線は直径5.3メートル。掘削する断面積で比較すると、一般的な地下鉄は約42平米。大江戸線は約22平米となる計算だ。これだけ違うと工事費が大きく違ってくる。従来の地下鉄のキロメートル単価(1kmつくるのにかかるコスト)は522億円。都営大江戸線だとこれが321億円だ。約40%のコスト削減になる。責められるような行為ではなく、輸送需要や建設規格の見直しなど、褒められるべき努力の成果なのだ。削減したとはいえ、決して安い金額ではないが。
ロンドンの地下鉄は、トンネルの大きさやかたちにあわせて車両をつくっている。ロンドンの地下鉄の歴史は140年以上ある。新しい路線もあるが、古い路線も現役だ。ロンドンで地下鉄に乗ったとき「古い地下鉄があるな」と感じたのを覚えている。古い路線のトンネルは、浅く、すごく狭い。そこを走る車両は、天井部は斜めに切ってつくっており、断面は台形だ。トンネルにあわせているのである。そういう合理的な考え方が、都営大江戸線のトンネルの断面には見て取れるのである。
今回の停電の原因は、トンネルが狭いなどの設計ミスではない。スイッチを入れ忘れた人為的ミスだ。効率は追求するのは企業であればあたり前である。効率の追求と安全をおろそかにするのとは別の話で、本来両立するはずだ。トンネルの狭さに文句を言うのではなく、コスト意識をもって安価な方法を選び、工事したことを評価することが大事なのだ。
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