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東京メトロは、路線のほとんどが山手線の内側に集中している優良企業。借金さえ返してしまえば、大きな利益を生み出す力がある。この力を生かし、値下げして、都民を中心とするお客さんに利益を還元しなければならない。

公共の交通機関なのだから、株主の利益を追求するだけではダメだ。社会資本としての役割をしっかりと担う必要がある。もし政府や東京都が株をいたずらに放出して、個人株主が増えれば、株主の利益のための東京メトロになってしまう可能性が高い。そうなってしまえばいくら儲かっても自分たちや株主の取り分だけにあてて、値下げしない。やはり、都民をはじめとする利用者(お客さん)のための東京メトロである必要がある。

道路公団は、組織が、職員のための独立王国になってしまっていた。これは許されない。そうなるといくらでも金集めができるようになってしまう。東京メトロも、道路公団民営化と同じく、借金の返済計画と料金の値下げ計画をきちんと組み込んで組織を改める必要がある。

もちろん、都営地下鉄と東京メトロを一体化させるためには、企業体系を統合するなどの準備をしていかなくてはいけない。たとえば、都営地下鉄のほうが借金の負担が大きい。次に、料金体系の違い。東京メトロの初乗りは160円、都営地下鉄は170円なのであまり大きな違いはない。だが、距離に応じた料金の上昇は、東京メトロは10キロ圏で190円だが都営地下鉄では260円と早い。それらも含めて、一元化していく必要がある。もちろん職員の給料体系も対象になる。

もちろん、一体化・24時間運行がすぐに実現できるかはわからない。だが、新しい考え方をしなければ、次に進むことはできない。「変える」ための思想を持つことが重要なのだ。

猪瀬 直樹(いのせ・なおき)

作家。1946年、長野県生まれ。

1987年『ミカドの肖像』で第18回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。『日本国の研究』で1996年度文藝春秋読者賞受賞。以降、特殊法人などの廃止・民営化に取り組み、2002年6月末、小泉首相より道路関係四公団民営化推進委員会委員に任命される。政府税制調査会委員、東京大学客員教授、東京工業大学特任教授、テレビ・ラジオ番組のコメンテーターなど幅広い領域で活躍中。東京都副知事。最新刊に『東京からはじめよう』(ダイヤモンド社)がある。

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