生徒へ直接メッセージを届けられるツール
ニューヨークの公立学校では、20年前より学校内での携帯電話の使用を厳しく制限している。ミリオンで配布された携帯も、学校内ではスケジュール帳や計算機能以外、使用不可能となっている(ただし救急電話(911)へは通話可能)。いっぽう、教師たち管理者は、携帯電話のGPS機能を利用することで、生徒たちの出席状況も追跡が可能になっている。
ニューヨーク教育委員会は、ミリオンキャンペーンを通して、生徒たちへ直接的なコミュニケーションを行なえる基盤として携帯電話を位置づけようとしている。教師や学校のスタッフは、テキストメッセージを送ることで、勉強する上でのアドバイス、宿題に関する告知や催促をすることができる。また教育委員会が、生徒たちに対して、直接メッセージを伝えることもできるようになった。メッセージの内容は「学業に専念すれば、ミドルクラスレベルの生活を誰でも送れるようになる」といったものだ。
「もので釣る」との批判も
もちろん、スパークやミリオンのような、インセンティブを使った教育プログラムを押し進めるフレイヤー氏とニューヨーク教育委員会に批判が無いわけではない。オンラインメディアの『デジタルジャーナル』は、ミリオンが、子どもたちを「もので釣る」ようにして勉強に向かわせているだけなのではないか、また携帯電話を通じて、教師や親が常に子どもと連絡を取れる状態が、彼らと教師の距離を埋めてくれるとは限らないと指摘している。しかし一方で、このプロジェクトの可能性が無限であるのは事実であり、この活動が正しく行なわれると、テクノロジーと学業成績によって、米国内の極貧地域の負のスパイラルが解消されるかもしれないと締めくくっている。
子どもたちにとって、「学習」「教育」「知識」は、自らを磨くためのものという以上に、生きるための道具である。そして学校および教育委員会は、子どもたちが生きるための道具を得る手助けの1つとして、携帯電話やインセンティブが有効だと判断した。この実験的試みのいく末が素晴らしい結果を生むことを期待したい。
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