フランスで70年代から続くケルティックハープのブーム
(市絛 三紗=フリージャーナリスト)
ケルティックハープは、クラシック音楽の演奏に現在使用されるハープの原型だ。現在のハープより小型で、ペダルはない。
中世ヨーロッパの宮廷ではポピュラーな楽器だったが、生活様式の変化とともに、フランスでは忘れ去られた存在になってしまった。ところが1950年代に、ジョルジュ・コシュブルーがこれを復元。それ以来、現在も愛好者が増加している。特に子供や若い女性に人気が高い。
フランスでケルティックハープを製造するカマック・ハープ社では、「生産が追いつかず、注文から納入までに1年以上かかる」という。

ケルト文化圏に共通のモチーフ「トリスケル」を形どっている
「ハープの起源は狩猟用の弓だった」というのが定説。古代エジプトやギリシャですでに演奏されていた。その後はいったん記録が途絶えるが、9世紀ごろ、スコットランドやアイルランドなどの文献に再び登場する。ハープのうち、ケルト系の言語を話す人々が使ったものが、ケルティックハープ(アイリッシュハープ)である。ケルト系の言語を話す人々は現在、アイルランド、英国のスコットランドやウエールズ、フランスのブルターニュなどに暮らしている。
騎士物語の挿絵には、ケルティックハープをつまびく吟遊詩人の姿がよく登場する。中世の英雄伝説や民間伝承はメロディーにのせて語られたからだ。人々は奇想天外な物語と巧みな演奏にハラハラドキドキしたのである。琵琶法師が語る平家物語を想像していただければ、近いイメージだろう。
1950年代にフランスで“復活”
ケルティックハープはケルト文化に溶け込んでいたが、フランスでは18世紀ごろから除々に演奏されなくなった。20世紀にはその存在すら忘れ去られた。映画やテレビなどの新しい娯楽が、騎士物語に取って代わったからだ。伝統音楽は古臭いと敬遠されたのである。
しかし1950年代に入って、ジョルジュ・コシュブルーがケルティックハープを復元。彼の息子、アラン・スティヴェルが、ケルティックハープを使う伝統的な音楽とロックの融合に成功した。これは「ケルティック・ポップ」と呼ばれ、フランス音楽界に新風を吹き込んだ。ビートルズにあこがれる若者たちをもとりこにした。
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