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「抗酸化ビール」などのヘルシービールが登場

ヴァイエンシュテファンが販売する、抗酸化物質配合ビール「Xan」

しかし、一昨年あたりから風向きが変わってきた。「シロップなどの副原料をろ過後に添加する分にはビールとみなす」とする司法判断が相次いだのだ。これをきっかけに、ビール純粋令の“呪縛”を解かれたビール各社は、ドイツでは珍しかったバラエティーあふれる製品を売り出し始めた。

先陣を切ったのは、日本でもよく知られるベックス。すっきりとした喉ごしを売り物にしたマイルドなビールや、ライム果汁入りのビールを発売すると、若者を中心に人気を呼んだ。すると、ビットブルガーやクロムバッハーといった大手各社も、低アルコールビールのほか、フルーツジュースやコーラとミックスしたカクテル風ビールなどを売り出してこれに追随した。

最近増え始めているのが、病気予防の効能を前面に打ち出したヘルシービールである。世界最古のビール醸造所として知られるバイエルン州フライジングのヴァイエンシュテファンは、ホップに含まれる抗酸化物質が、ガンや心臓発作、心筋梗塞、アルツハイマー病などの予防に効果があるとされている点に着目。この抗酸化物質を濃縮する技術を開発し、普通のビールよりも抗酸化物質を多く含んだ新製品を発売した。

カールスバーグが販売する、各種ビタミン配合ビール「KARLA」(写真提供:カールスバーグ)

さらに、大手の一角であるカールスバーグは、健康に良いとされる各種ビタミンやビオチン、レシチン、葉酸などを混ぜたアルコール度数1%というビール「KARLA」を製造。何と薬局を中心に売り出すことにしている。薬局でビールを売るのは「最も頻繁に薬局を利用する、健康に敏感な中年女性に飲んでもらうため」(同社PR担当者)。テストマーケティングの結果は上々で、今年中に全国展開する。

これらのヘルシービール、売り出されて間もないこともあって、実際にどの程度売れているかについての正確な統計は存在しない。しかし、業界関係者の間では、「ヘルシービールに参入した各社の戦略は成功」とみられている。

味は変わらないけれども…

さて、ヘルシービールの気になるお味はどうなのだろうか。筆者は、ヴァイエンシュテファンの“抗酸化ビール”を試してみた。普通のビールと大きく味が違うかどうかは正直言って分からなかった。ドイツの新しいトレンド、ヘルシービール。果たしてビール王国の女性たちの、さらにはお腹回りの気になる男性諸氏のハートをつかむことができるだろうか。

木村 麻紀(きむら・まき)

フリージャーナリスト。時事通信社記者を経てフリー。地球環境の持続可能性を重視した国内外のビジネスやライフスタイルを分野横断的に取材している。5月に初の著書「ロハス・ワールドリポート──人と環境を大切にする生き方──」(木楽舎)を出版する予定。

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