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民放の根幹を揺るがす、ある“深刻な”事態(3)〜テレビCMの辿る道

2006年1月27日

ブランド力のある強い商品は、テレビCMを一時的に日本全国で取りやめても、致命的な打撃はまったく受けないというこの事実が、民放(商業放送、広告放送)に与える影響は極めて深刻である。

謝罪一色でも売れるプラズマのワケ

もちろん、告知・謝罪を流したこと自体が「正直なメーカーだ」という印象を与えるイメージ広告の役割を果たし、それがプラズマテレビの売り上げにつながった側面があるかもしれない。また、あるメーカーだけがCMを停止しても影響は少ないが、全メーカーが一斉にCMを停止してしまうと目も当てられない惨状を呈することだってあるかもしれない。まだ、検討しなければならない問題は山積している。

だが、テレビにおける宣伝広告のあり方に巨大な一石を投じた、極めて興味深い出来事があったことだけは確かだ。その影響を固唾をのんで見守っているテレビ関係者も少なくない。広告会社は「(松下の謝罪一色という)全国どこでも同じ映像を付けて広告収入は同じなのだから、手間が省けてラッキー」と喜んでいる場合ではない。

トヨタ自動車、連結売上高18兆5515億円(米国基準)。松下電器産業、同8兆7136億円。ものづくり日本の代表選手で稼ぎ頭の両社で、期せずしてテレビCMのあり方を疑わせる出来事が起こっていることは、なんとも象徴的な話である。

もう何年も前のことだが、筆者は、テレビの最大の「お得意様」であるバストイレタリー・メーカーの宣伝部員から、「私たちのいちばんの悩みは、あれだけ売っているテレビCMがどれくらい効果があるか、ハッキリしないことなんですよ」と聞いたことがある。その悩みや疑問に答える出来事が、現実に起こりはじめた。その影響は、民放業界に、ひいてはテレビ全体に、ボディーブローのようにきいてくるだろう。

広告費推移では分からないネット・シフト

ここで結論めいたことをまとめておこう。第一に、メーカーが、テレビ・新聞・雑誌などに代わる「ダイレクトな情報発信メディアとしてのインターネット」を新たに手に入れたということだ。

注意が必要なのは、サイト制作費は費目が広告宣伝費とは別だから、広告費だけの推移を追っても何が起こっているかわからないこと。企業は、テレビ広告費の一部をネットに振り向けているというより、広告費そのものを省いて、自前サイトをせっせと充実させている。

ネットの情報発信ではサイト制作業者は深く関与するが、企業が出す広告をメディアに仲介するいわゆる「広告代理店」の存在意義はない。「枠を押さえている」というテレビにおける電通のような存在は、ネットでは「中抜き」されるのだ。DELLがオンラインで受けた注文情報を本国とマレーシアに瞬時に送り、流通過程を押さえている問屋などすべて中抜きして、製品を航空便で届けるのと同じだ。だから、インターネット上の広告費が急激に伸びるわけではない。にもかかわらず、企業が運営するサイトにアクセスし、詳しく比較検討のうえ、その企業の製品を買う人が増えていく。

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