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民放の根幹を揺るがす、ある“深刻な”事態(1)〜テレビCMの限界が見え始めた

2006年1月13日

テレビ放送が始まって、はや、半世紀以上が経過した。

ここへ来て、テレビ放送の行く末を、あるいはテレビという存在そのものを、大きく揺るがしかねない深刻な事態が進行中である。当連載では、そのような問題をいくつか取り上げて、テレビは今、何をすべきかを、読者とともに考えていきたい。

まず語ろうと思うのは、民放を震撼させはじめた巨大で困難な問題についてである。

「民放」とは、いうまでもなく「民間放送」の略称で、公共放送NHKとの併存体制をとっている日本独自の呼び方だ。これは、カネ儲けという目的だけが全面に出るのはいかがなものかという配慮に基づく形式的な呼び方であって、実態や機能に注目するならば「商業放送」または「広告放送」と呼んだほうがよい。諸外国でもそのように呼ばれている。

つまりは、放送時にCM(=commercial message。宣伝。広告。とくにテレビやラジオなど電波広告用の宣伝広告文案)を流し、スポンサーからおカネをもらって、それを放送局の運営費や番組の制作費にあてる放送。もっと短くいえば、視聴者からはおカネをもらわない無料放送。──それが「民放」と呼ばれる商業放送・広告放送である。

ところが、まさに民放の根幹を支えるものというべきテレビCMが、ある分野においてはあまり「効かない」らしいということが、次第に明らかになってきたのだ。

CMを見て買うもの、何がある?

たとえば筆者は、使っていたパソコンが2005年3月にイカレてしまい買い換えた。子どものパソコンもオンラインでDELL製を買ったのだが、このときテレビCMは一切参考にしていない。11月に知人のパソコンがイカレたときも、ネットに接続できないので筆者が代わりにDELLを注文したが、やはりCMは利用していない。そもそも世界最大のパソコンメーカーであるDELLのテレビCMというものを、少なくとも筆者は見かけた記憶がない。

考えてみれば、それまで使っていたパソコンも、子どもの古いパソコンも、テレビで広告を打っていた企業の製品ではなかった。うちのクルマもそうだった。ステーションワゴンを総ざらえした雑誌を参考に車種を決めたので、テレビCMは関係ない。昨年のクリスマスに娘に買ってやったデジカメも、まず予算を決めてネット上で選び、日本でいちばん安い価格を提示している店(秋葉原のはずれ、神田末広町にあった店員一人の通販問屋)で購入した。

ようするに、筆者がここ何年かで支出した価格2〜3万円を超えるような買い物は、ほとんどテレビCMの影響を受けていないのだ。

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