振り返ってみれば、一時期、テレビ局のCMには、「消費者金融」の広告が大量に溢れている期間があった。各局とも、放送時間などに規制を設けてはいたが、その宣伝費は、各局にとって概ね魅力的だった訳だ。だがグレゾーン金利の撤廃によって「消費者金融」の収益力は、のきなみ悪化。それに従ってテレビの広告量も格段に少なくなっていった。その後を継ぐように、「パチンコメーカー」の広告が増加しているという訳だ。特にデジタル化投資に経営を圧迫されている地方局は、この傾向が顕著で、「パチンコホール」のCMもまた非常に目につく。
このようにスポンサーのテレビCMは、その業界の活性状況を見る目安として役立つとも言えるが、テレビ局は、その場しのぎのスポンサー依存体質と言われても仕方がないだろう。
テレビCMの信用度
だが、最も心配なのは、こういった表層的な事柄ではない。テレビ局、広告主企業も含めた、「企業理念」が日本全体からどこかえ消え去ってしまったのではないかという事である。食品偽装より以前には、大手自動車メーカーが、欠陥を知りながら告知しなかったという事件もあった。不祥事だらけの、この国の政治家、官僚らの体質が一般企業の経営者、社員の良心をも棄損してしまったのではないか。
このような一般企業の、国民からの信頼度の低下が昨今著しい中、テレビ視聴者は、企業が行うテレビの広告宣伝に対しての信頼を、果たして置いているのだろうか。テレビ局自らの「ねつ造」での信頼度の失墜に加えて、そこでテレビ広告をうつ「企業の信頼度」に信用がなければ、「どうせCM内容なんていい加減に違いない。金儲け優先なんだろう。良心的であるはずがない。」とテレビCMでの商品宣伝など賢い視聴者は背を向けてしまうだろう。
テレビ業界は、景気動向や放送外収入、云々の前に、日本の企業体質と商品、それを見つめる国民との間の「信頼関係」が崩れてしまえば、広告を前提にした民間放送の存立基盤がなくなってしまうという冷徹な事実は、今や決して杞憂とは呼べないのではないだろうか。
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