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衛星デジタルの紆余曲折:地上デジタルを考える前に(1)〜CS放送の受難

2006年4月19日

NHK問題に絡んで、NHKの放送チャンネル数の削減という案が出てきている。その代わり視聴料金を値下げするという。しかし、一度放送を開始したチャンネルをいとも簡単に削減してしまってよいのだろうか。そもそも視聴者の視点に立った議論がほとんどない。放送が必要だからではなく、使い道に困った予算や人員のためだからそういう考えになってしまうに違いない。首相や担当大臣が言ったから「はいそうですか」では、視聴者不在もはなはだしい。

さて現在話題なのは、「ワンセグ」だ。しかし私のまわりでも、対応した携帯を所有している人は数少ない。価格が高いせいもあるだろうが、それによって得られるサービスがまだまだ数少なく、魅力的では無いというだろう。メディアを挙げて地上デジタル放送について大騒ぎだが、デジタル放送と言えば、つい最近までは「衛星デジタル放送」だったはず。視聴料金値下げのためでなく、経営内容からやむ無く放送事業を撤退したチャンネルも多い。当時を振り返ってみたい。

BSとCSのアンバランス

総務省(当時、郵政省)は、10年前、衛星デジタル放送によって、バラ色の「多メディア多チャンネル時代」が到来すると喧伝したものだ。衛星放送は当時、アナログのBS(放送衛星)放送しかなかった。そこにCS(通信衛星)を利用したサービスが開始されたが、CATV経由で、各家庭に映像を届けるという手段しか可能ではなかった。BSはアンテナで直接家庭受信が可能、CSはCATV経由というアンバランスな成り立ちだった。そこにCSからの映像の直接受信という道が開かれる事になり、「バラ色多チャンネル論」が展開されたのだ。

そもそも、BSとCSの違いとは何であろう。世界の放送サービスにBS/CSという使用衛星における区別は無い。日本独特のこの衛星の機械としての違いは、視聴者の利便性や、放送する番組の権利体系も含めて国内に複雑な衛星放送の仕組みを作ってしまった。

第一に、CS放送が成り立った経緯だ。当初CSはCATV経由でのみ視聴可能とされていたが、CATVのインフラ整備もまだまだの時代であったために、全くと言っていいほど普及しなかった。そこで規制緩和により、このCSによる映像配信を各家庭に直接届ける事を可能にしようといったことから、「多メディア多チャンネル」時代の一挙到来となったのだ。当時、テレビ局の免許は地上波とNHK、WOWOWに限定され、異業種からの参入が不可能だった。そこへCS放送の「委託放送事業者」という「テレビ局の免許」がもらえるというのだから、これまで地上波の下請け制作をしていたプロダクションだの、映画の配給会社だのが一斉に申請に殺到したのは言うまでもない。

next: ここに1996年、CSからの直接受信を目的として…

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