中国製ギョーザ農薬混入事件、国内安全安心体制の確立を
中国製冷凍ギョーザによる中毒症状で、生命に危険を及ぼすような嘔吐や痺れを起こした人が10人。その後、報道を聞き、自らも食し具合が悪かったと申し出た人は、2月4日15:00現在の厚生労働省とりまとめでは3742名に上っている。
また、兵庫県警は2月3日午後に、商社・双日食料から任意提出された未開封の6袋のパッケージ表面からメタミドホスを検出したと発表。そのうちの1袋には直径1ミリの小さな穴も見つかっているとした(翌日には、皮や具からも検出と発表)。さらに、同2月3日の夜には、生協が記者会見し、回収した2袋から極微量のメタミドホスが検出されたことを明らかにした。
輸入元は急遽担当者を中国の天洋食品の工場に派遣しているものの、十分な調査をすることが出来ずにいる。また、中国で会見した品質管理の役人や工場の社長はサンプルでは異常ないとしているが、日本側からは原因究明が手ぬるいとの指摘もある。北京オリンピックを前に、日本製品をめぐるバッシングの再来(「第127回 中国におけるSK-II問題、化粧品問題と残留農薬」を参照のこと)が気になるところである。
もうひとつ気になるのは、ジェイティフーズに製造委託していたとはいえ、「生協のCO・OP商品」から被害が出たことである。生協は自らが食の安全安心で日本をリードしていると自負し、残留農薬に関するデータ集や「食品の安全レポート」を取りまとめている。その生協の安全安心マニュアルの根拠は、食品安全委員会のリスクコミュニケーションに見て取れるが、このあたりにも問題は多く残っていそうだ。
いつものように、日々発生するリスク事象、本コラムでの連載テーマのフォローアップについては、適時筆者のブログ「e戦略の視点2」にて行っている。
中国製冷凍ギョーザ事件の背景とリスク事象
天洋食品製の冷凍ギョーザは、輸入商社の双日食料が仲介し、JTの子会社であるジェイティフーズが輸入したものである。一部は生協からの委託を受けて生産されたもので、それらがスーパーや生協を通じ、全国に販売された。中国製冷凍ギョーザで中毒症状というニュースの第一報が流れたのは、1月30日夕方であった。
・縦割り行政でのミスが重なり公表に遅れ
そもそも中毒が発生したのは1カ月前の2007年末。千葉市で食した父娘の容態が悪化し、年明け早々に保健所に持ち込んで検査依頼をしたが、まともに受け付けてくれなかったという。結局、1カ月程経ってから、ようやく検査結果がそろいマスコミを含め大騒ぎとなった。
公表が遅れたのは、年末年始だったため。筆者は自著でも取り上げているが、リスクの発生確率に偏りがないとするならば、休みたいという人間の心理が働く盆暮れは、マネジメント体制が脆弱化するので、結果的にリスクが上がる。
もうひとつのミスは、役所から役所への連絡体制の「縦割り行政」が原因で発生している。
まずは、中央省庁からの通達で、保健所など窓口(最前線)となるものが決められたが、人数、予算が制約されるなか、業務だけが増えるので、形だけの検査に終始してしまう。もちろん、すべてを検査していたら、流通スピードが極端に停滞し、ビジネスとしては成立しないし、コストもかさむ。そのぎりぎりの線引きをどうするかという問題が存在する。
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