赤福製造日偽装と食品表示の縦割り問題
伊勢土産として長年親しまれている赤福餅で、製造日偽装が発覚した。
今年創業300年を迎えた老舗食品会社の行為に、消費者はまたかと嘆き、裏切られたと離れていく。メディアはそうした不法行為があった体質を暴き、経営トップの責任を追及する。赤福はお詫びをし、反省するとともに、コンプライアンスの徹底を図り、経営改善・再発防止を誓った。ここまでなら、いつもの光景だが、この一件、やや違う側面も見せている。
報道によれば、赤福(三重県伊勢市)は約10年前、本社のある三重県伊勢保健所を通し、冷凍した赤福餅の解凍日を製造日にして良いかを問い合わせ、「(食品衛生上)問題ない」との回答を得ている。
ここに、食品衛生法とJAS法など、複数の法律にまたがる複雑性が存在する。
今回の事件は、農林水産省の東海農政局と近畿農政局がJAS法(農林物資の規格化および品質表示の適正化に関する法律)に基づいて、製造年月日の改ざんと原材料表示が不適切であると指示・公表を行ったものである。東海農政局は、「(食品衛生法は)関知せず、コメントする立場にはない」とし、「製造日は製造した日であり、解凍した日ではないはずだ」としている。一方、事件発覚後、三重県健康福祉部は、「農水省管轄のJAS法についての認識はなかった」とし、「今後は両法律に照らして指導する」考えを示した。
現行の食品表示制度についていろいろ調べてみると、食品衛生法(厚生労働省)、JAS法(農林水産省)、景品表示法(公正取引委員会)の3つの法律がそれぞれ重なりながらも存在し、それぞれに管轄が異なることがわかった。結果、現場(食品会社やその工場)では問題なしと考え、数十年前から続く工程を繰り返していて、ある日突然、法律違反を指摘され、リスクが突如浮上する。
あるいは、同業他社や異業種での不祥事に、うすうす自社も“グレー”と認識しても、取引先への影響なども考えると、すぐに是正できるものでもない。けっして違法を推奨するものではないが、法律の改訂とともに、複雑化する食品表示への対処などでは、さらに官側の一本化への努力、解りやすさへの調整が求められる。
いつものように、日々発生するリスク事象、本コラムでの連載テーマのフォローアップは、適時筆者のブログ「e戦略の視点2」にて行っている。また、リスク関係のコンテンツに特化した新サイト「r戦略の視点」では、筆者が教鞭を取る社会人大学院の学生とのコラボレーション、外部とのオープンの「場」を設けたので、関心のある向きにはアクセスを願いたい。
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