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温家宝首相の来日と日中融氷への課題

2007年4月18日

冒頭、長崎伊藤一長市長が銃弾に倒れ、亡くなられたことに哀悼の意を表したい。本稿を書いている最中に、第一報をテレビのニュース速報で知った。NHKは番組内容を変更し、現場中継に切り替え、事件直後の物々しさを伝えた。選挙期間中の惨劇は、民主主義社会への挑戦であり、許されるものではない。投票日まで残り僅かであり、新たな立候補者含め、混乱なく選挙が行われることを望むものである。

さて、今週は温家宝首相の来日と、日中関係を取り上げる。

日中関係は、小泉前首相の靖国参拝への反発や、中国国内の共産党による求心力向上の立場からの反日デモなどのため、ここ数年、トップ会談が事実上ストップしていた。それが、安倍政権の誕生をきっかけとして、日中(あるいは日韓)に雪解けに向かう契機が浮上した。正確に記述すれば、ポスト小泉の中で、政府関係者が水面下での調整を行い、関係修復のタイミングを探っていたといえよう。日本からの再三のアプローチにも関らず、それまでの両国の関係は氷のように冷たかったのも事実である。

そこで安倍首相は、歴代の首相が就任後、真っ先に訪米するという慣例を転換し、まずは中国、韓国訪問を敢行。隣国への配慮と、友好関係修復への日本国の熱意を示した。

温家宝首相の来日は、温首相が先の安倍首相の訪中を「氷を砕く旅」、今回の、自らの訪日を「溶解への旅」と称したように、日中というアジアの二大国がアジア地域を、ひいては世界を牽引する上で、両国の友好関係を維持、強化することへの意思表示である。それは来年の北京オリンピックを成功させたいホスト国の配慮であるともいえる。

その意味では、「政治リスク」は賞味期限(今年の秋ごろの靖国参拝の動きへの解釈)があるにせよ、少し緩和されていることであろう。

一方、コピー商品の取り扱いなど、知的財産権に対する日系企業の要望は先送りされ、具体的な協力体制には至っていないという認識を持つ経営者もいるようだ。すなわち、「経営リスク」は現状維持、あるいは上昇傾向にあるともいえる。

本稿では、そうした背景、行間を踏まえつつ、温家宝首相の来日の3日間のスケジュールと、その間に利害関係者と是々非々で調整された期待リターンを上げる努力(マーケティング戦略)、つまりは溶解戦略などに言及したい。

なお、日々発生するリスク事象については、筆者のブログ「e戦略の視点2」にて適時解説を加えている。

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