このページの本文へ
ここから本文です

常態化する電力会社の隠蔽体質が招く、安全安心とイノベーションブランドの危機

2007年3月20日

今週は、電力会社の隠蔽体質、事故隠しを取り上げる。

ここでは、北陸電力と中国電力でのケースを取り上げたが、その他電力会社(東京電力、関西電力、東北電力、北海道電力)などでも、過去の不祥事が相次いで報告され、今後事実解明とともに、監督官庁からの厳正なる処分が待たれるところである。

こうした事故隠しの当事者が現経営者である場合、どう責任を取らせるのか、あるいは致し方ない部分があったとしても、その体質を引きずり、経営を続けて良いのかという問題が横たわる。地域住民や作業員の安全とともに、企業経営の根幹である信頼性に係る問題であり、業界によっては上場廃止にまで追い込まれる事態ではないかと考える。さらに、クリーンエネルギーに対する安全神話の揺らぎ、世界的にも日本や日本国民へのイメージ、ブランドの低下を引き起こし、原子力発電技術の輸出など新たなイノベーションが大きく躓く事態につながりかねない。

なお、日々発生するリスク事象については、適時「e戦略の視点2」にて解説を加えている。

●電力会社の隠蔽体質

電力各社によるデータ改ざん、事故隠しが後を絶たない。ダムデータの改ざん、原発での緊急停止隠蔽に加え、週明けには特殊と思われていた制御棒が外れる事象がさらに発覚。報告義務がなかったから、臨界に達していないから、などとして、今回の事故発覚で改めて公表することにしている。電力会社の対応は何やら他人事のようだ。

事故が起きてからでは遅い。それも、小さなミスではなく、重大ミス。事態を究明しようしたが、当時の資料が見つからない状態にある(意図的な廃棄があるとの調査報告となっている)。安全安心神話が地に落ちた状態で、信頼回復や再発防止の文言が白々しい。

ダムデータの改ざんとは、作ったダムが地盤沈下を起こしているか、あるいは水圧により浮き上がることがないか、つまりは構造物として安全かを確認するデータについて、安全範囲に入るように現場の判断で「修正」を加えたことを意味する。また、原発事故の隠蔽は、新しい原発工事の決定がなされる瞬間に発生している。

その他のデータ改ざんや不法工事も安全神話を継続させるための過去の不祥事隠し、手続きの煩雑さを回避するための「作業」であったようだ。そして、これらの記録は意図的に廃棄され、あるいは事故から年数が経過しているということで見当たらないとされている。

当時の担当者、責任者は、今のトップにつながる可能性も高い。いったい日本という国の、そして重要なインフラを預かるはずの電力会社の誇りというものはどこに行ってしまったのか。

(全 7 ページ中 1 ページ目を表示)

あなたのご意見をコメントやトラックバックでお寄せください

記事検索 オプション

日経BP社の書籍購入や雑誌の定期購読は、便利な日経BP書店で。オンラインで24時間承っています。

ご案内 nikkei BPnetでは、Internet Explorer 6以降、 Safari 2以降、Opera 8以降、Netscape 8.1以降またはHTML 4.01/CSS level 1, 2をサポートしたWebブラウザでの閲覧をお勧めしております。このメッセージが表示されているサポート外のブラウザをご利用の方も、できる限り本文を読めるように配慮していますが、表示される画面デザインや動作が異なったり、画面が乱れたりする場合があります。あらかじめご了承ください。

本文へ戻る