このページの本文へ
ここから本文です

製品回収問題〜企業の社会的責任と回収への経営判断

2006年12月19日

今週は、製品回収問題をお届けしたい。今年は、特徴ある製品回収案件が多々発生したが、ここでは、「松下電器石油暖房機」「パロマ湯沸かし器」「ソニー製リチウム電池」「シュレッダー事故」のケースを取り上げる。

これらの製品回収問題の特徴は「リスクの拡大」である。例えば、一連のガス関連機器での事故発生は同業他社へのリスクの波及であり、パソコン電源の回収ならびにシュッレダー事故はオフィス機器の家庭内・個人への浸透に伴うリスクの拡大と考えることができる。

いつものように、リスクマネジメントに関する突発的な出来事や本コラムで取り上げたケースのその後などについては、適時「e戦略の視点2」を参照いただきたい。また12月4日付で、リスクマネジメントに関する各種活動、情報発信サイト「リスク・インフォメーション・ネットワーク」を立ち上げたので、あわせて活用いただければ幸いである。

●製品回収問題の背景

製品にある不具合が発生し、それがユーザーにケガを負わせ、死に至らせる場合、特殊な使用方法や利用環境であったかなどを見ながら、当該企業は主務官庁ならびに関連協会、業界団体に報告し、製品回収へと動くことになる。あるいは、その前に、ユーザーが消費者団体などに連絡し、官庁やメディアの知るところとなり、企業に製品回収の圧力がかかる場合もある。

告知漏れや監視不備などがあるものの、多くの場合、時間経過とともに、事例が集まり、企業が動くことになる。

・文化の成熟度から来る企業の社会的責任
 昨年末から今年にかけての一連の製品回収のケースを見ていると、いくつかの特徴が浮上する。

一つは、過去の事例、文化的な成熟度から、許容範囲内とされていたものが、企業の社会的責任への意識の高まりからユーザーにノーを突きつけられることだ。このなかには、製品劣化時の責任の所在が曖昧なものなどもあり、主務官庁が法律の整備を続けながら、漏れのない体制を整備しているようなことも含まれる。

不具合が生じ修理を施す場合に「誰が・いつ・どこまで」実施し、「どのような状態」にしたのかを問われるケースもある。また、部品供給が追いつかず、自社がサポートすべきユーザーへの対応が他社よりも遅れることで、新たな批判、ブランド価値の低下を誘引するケースも存在する。

・経営判断に際した現場でのブレ
 リスクが発生すると、企業はそれら事件事故から学び、ユーザーに対してよりしっかりした対応をとるようになる。ところが、経営判断上の心理的抵抗値として、現場がリスクを先送りしてしまうことが少なくない。例えば、ここで不祥事(事件事故)が発覚すると企業の経営にとって立ち直れない大きなインパクトとなると考えたり、あるいは、創業者や伝説的な経営者に不要な心配をかけたり不祥事のレッテルを貼りたくないと、関係者が隠蔽工作に走るケースだ。

(全 6 ページ中 1 ページ目を表示)

あなたのご意見をコメントやトラックバックでお寄せください

記事検索 オプション

日経BP社の書籍購入や雑誌の定期購読は、便利な日経BP書店で。オンラインで24時間承っています。

ご案内 nikkei BPnetでは、Internet Explorer 6以降、 Safari 2以降、Opera 8以降、Netscape 8.1以降またはHTML 4.01/CSS level 1, 2をサポートしたWebブラウザでの閲覧をお勧めしております。このメッセージが表示されているサポート外のブラウザをご利用の方も、できる限り本文を読めるように配慮していますが、表示される画面デザインや動作が異なったり、画面が乱れたりする場合があります。あらかじめご了承ください。

本文へ戻る