村上ファンドの光と影(2)〜問われるコーポレートガバナンス
先週に続いて、村上ファンドを取り上げる。
株主価値の向上とそのためのコーポレートガバナンス(企業統治、会社は誰のものか)の健全化への強い要求は、村上ファンドの独壇場のように思われている節があるが、実は村上ファンド以外にも、日本を代表する機関投資家である「厚生年金基金連合会」が2002年ごろからモノ言う株主として、企業に注文をつけている。また、政府(財務省、経済産業省)も、努力を怠り、株主価値を引き上げられない企業は、さらに格差が開くと警戒している。
こうした内容を後編として準備していた矢先、日銀総裁や村上氏の役所時代の同期らが、応援の意味もありファンドに出資していたことが判明。業界を監視する側のコンプライアンスも問われる事態に発展している。
いつものように、リスクマネジメントに係る突発的な事象、過去に掲載したテーマのその後については、「e戦略の視点2」を参照していただきたい。
●村上ファンド騒動第二幕
・日銀総裁の出資
村上氏が逮捕され、ファンドの運用が引き継がれるか、縮小されるか、次の動向が注目される最中、6月13日に大きなニュースが飛び込んできた。日銀の福井総裁が、「設立直後の村上ファンドに1000万円出資していたこと」「出資は民間シンクタンク(富士通総研理事長)時代であること」「総裁就任後も運用契約を継続していたこと」「今年の2月に解約手続きをとったが、その直前に堀江ライブドア元社長の逮捕などがあり、影響回避と見なされていること」などである。
そして本日(6月20日)、福井総裁が運用実績を国会に提出し、1000万円が昨年末までに約2200万円に増えていたことが明らかになった。
これに対して、日銀は現在の内規には触れないとし、政府も問題なしとしている一方、野党は中央銀行トップとしてのモラルなど道義的な責任を問題視している。
政財界(日本商工会議所、経済同友会)からは、福井氏は中央銀行総裁として、世界へ向けたメッセージを発することが出来る人物であり、政府の介入を阻止し、中央銀行としての「独立性」を維持してきた手腕への信頼も大きい。「グレーゾーン」「判断の甘さ」「本人の反省」などをもって、深く追及しないことのメリットが強調された。
一方、エリートクラブ(東大同級生ルートや官僚時代の仲間)などの支援により、大きな改革への一歩を踏み出し、人的ネットワーク(関係性)によるマーケティングでファンドを大きくしてきたという批判が、庶民感覚、格差拡大の中では、政治テーマとしても大きな意味を持ち始めており、「第二のリクルート事件」とも言われる部分は、注視する必要がある。
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