相互サービス開始から1年 伸長続けるIC乗車券の今後
(岩田 昭男=消費生活評論家)
2008年3月29日にJRグループ3社が提供するICカード「スイカ」、「イコカ」、「トイカ」の相互利用サービスがスタートした。それを記念して、首都圏の主要駅で「IC相互利用記念スイカ」が発売されたが、半日足らずで5万枚が売り切れてしまった。スイカの人気は相変わらず高い。スイカ一枚持てば、首都圏、名古屋圏、関西圏で利用できるようになったわけで、所有者にとって利便性はさらに向上する。
JR東日本の“夢”
この相互利用は、JR東日本にとって、別の重要な意味を持っている。同社は2001年、経費削減を目的に、首都圏にIC乗車券Suicaを導入した。「タッチ&ゴー」の使いやすさが評判となり、今では発行枚数2300万枚を超えるまでになっている。
構造的には非接触型IC(フェリカ)が使用されているスイカは、同時に、鉄道のIC規格である「サイバネ」規格(※)で統一されてもいる。この規格はJR東日本が音頭を取って制定したもの。その後に登場したJR西日本のイコカやJR東海のトイカ、JR北海道の「キタカ」、JR九州の「スゴカ」、それに首都圏私鉄連合の「パスモ」もサイバネ規格に準拠している。つまり、名称は異なるものの、基本はスイカのスペックが採用されており、スイカとの相互利用が可能なように設計されているのだ。
JR東日本は最初からこうした相互利用を重視する戦略を取ってきた。これには同社の遠大な“計画”がある、と筆者は見る。1980年代、旧国鉄は分割・民営化で解体され、5つの地域・事業体に分けられた。JRグループに「国鉄一家」という意識がまだ残っているならば、とくに長男格のJR東日本にはいつかは家族が一つにつながろうという“夢”──があるのではないか。そうだとすれば、スイカで実現できそうだ。すでにスイカとイコカは2004年から相互利用できるようになり、今年3月、トイカとも相互利用が可能になった。さらに、09年にはキタカ、つづいてスゴカも相互利用できるようになるという。いずれはスイカ1枚で北海道から九州まで移動が可能になるし、買い物もできるようになるだろう。そのときに“夢”が叶う。
※:日本鉄道技術協会の特例部会、日本鉄道サイバネティクス協議会が定めるIC乗車券の規格。
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