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李明博政権はどこに向かうか〜北問題は実用と理念が対峙

2008年2月20日

(武貞 秀士=防衛研究所統括研究官)

「実用政府」への圧倒的支持

韓国大統領当選から一夜明け、ソウル市内で記者会見する李明博氏(写真提供=共同通信社)

12月19日の韓国大統領選挙で、ハンナラ党の李明博(イミョンバク)前ソウル市長(65歳)が勝利してから2か月半が過ぎた。鄭東泳候補との差は531万票と圧倒的。過去の大統領選挙で最大の票差は194万票であったから、10年ぶりの保守政権の誕生に、いかに国民の期待が大きいかがわかる。この支持を背景に、李明博・次期大統領の引継委員会は、2月25日の就任式前ではあるが、政府機関改革案を策定すると共に、日本、米国、中国、ロシアに特使を送り、次期政権の「外交」が始めた。

12月18日夜、ソウル市清渓川(チョンゲチョン)入り口で開催された李明博陣営の集会を見に行った。ソウル市長時代に復元した清渓川の広場は、零下の気温にもかかわらず、大変な熱気であった。投票日前日なのに、「次期大統領が到着されました」というアナウンスと共に、李明博候補が登場し、側近たちの演説が続いた。ユーモアあり、対立候補へのしんらつな批判あり。芸能人も壇上に上がり、音楽と演説を組み合わせた、一大ショーであった。訴える内容は真面目で、5年に一度の大統領選挙は、韓国民が、韓国はいま何をすべきかを考える機会であることがよくわかった。

李明博・次期政権の最優先課題は経済政策である。次期大統領が約束したことのひとつに、「747公約」がある。年間で7パーセントの経済成長を確保して、やがて1人当たりの国民所得を4万ドルにし、韓国を世界の7大国のひとつにしてみせるというこの公約に、韓国財界の期待は大きい。規制緩和を進めて、朝鮮半島に大運河を掘って、内需を拡大する。政府機関の改編を大胆に進めて、効率のよい政府をつくる。そして、キーワードは「実用政府」である。李明博・次期政権の政策方向に関して、韓国企業のトップ100人に聞くと93パーセントが賛成したという。

米韓修復で、日本、中国と競争

李明博・次期政権は対米政策を重視する。その政策方向が見えてきたのは、次期大統領の側近である鄭夢準(チョン・モンジュン)議員が、1月22日、米国を訪問したときである。同議員は、国務省内でネグロポンテ国務副長官と会談をして、米韓同盟強化と韓米FTA(自由貿易協定)批准問題を話し合った。ホワイトハウスではブッシュ大統領とも会った。同議員は、米国務省で記者団に、「これまで米韓間では事前協議もなく業務を進め、不必要な誤解が生じる場合もあった」と述べて、これまでの10年間とは異なる対米姿勢をとることを明言した。政策ブレーンからは、米韓連合司令部の有事作戦統制権の韓国軍への委譲の時期を2012年から先送りする発言が出始めている(関連記事)。

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