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岐路に立つクレジットカード業界

2008年2月18日

(桐原 涼=経営評論家)

未曾有の経営危機

クレジットカード業界が揺れている。業界トップ企業である三菱UFJニコスの2008年度3月決算は、1000億円を超える赤字となる見込みである。三菱UFJニコスだけでなく、OMCカード、オリエントコーポレーションなどクレジットカード・信販業界の多く企業が、前期に赤字を計上、もしくは今期は大幅な赤字に陥る見通しだ。

クレジットカード・信販業界を揺さぶっているのが、グレーゾーン金利の廃止問題だ。これにより業界各社は貸出金利の大幅な引き下げを余儀なくされた。そればかりでなく、過去の過払利息の返還も迫られている。

過払利息の返還は巨額とはいえ、一過性の問題である。だが貸出金利の引き下げは、事業に多大な影響を与える。各社の事業収益は縮小せざるを得ない。このため業界各社は、生き残りに向けたリストラに必死である。三菱UFJニコスは、従業員の約4割に当たる2890人を削減する計画だ。業界他社も同様に、拠点の削減や人員の圧縮を急いでいる。

激変した業界地図

クレジットカード市場は長期にわたり、高い成長を続けてきた。右肩上がりの市場の中で、大手から中堅まで多数の企業が事業拡大を競ってきた。そして近年は、JR東日本、トヨタ自動車、ソニーなど異業種の有力企業も続々と参入し、市場における競争は厳しさを増している。

クレジットカードビジネスは、多数の会員を組織化するネットワーク産業である共に、巨大な決済システムを構築するインフラ産業でもある。インフラビジネスには規模の経済が働く。業界内では「生き残るのは上位3社」(クレディセゾン林野宏社長)という見方が強い。経営環境の悪化を踏まえ、再編統合の動きも急である。

業界トップの三菱UFJニコスは、MUFG(三菱UFJファイナンシャルグループ)系企業の大合同により誕生した。信販系トップの日本信販がUFJカードと統合しUFJニコスとなった。さらにDCカードとの統合により、三菱UFJニコスとなったのである。また流通系トップのクレディセゾンは、みずほグループのUCカードを統合した。このような再編過程で、銀行系・信販系・流通系という業界別の棲み分け関係は完全に過去のものとなった。

財務の悪化した企業が、メガバンクの傘下に入る動きも目立つ。三菱UFJニコスはMUFGから1200億円の資本支援を受け、完全子会社となった。またオリエントコーポレーションとジャックスも、それぞれみずほフィナンシャルグループ、MUFGの傘下で再建を進めている。さらにダイエーの子会社であったOMCカードもSMFG(三井住友ファイナンシャルグループ)の傘下に入った。

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