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必然性がない中国での冷凍餃子製造

2008年2月8日

(南船北馬)

農薬が付着した冷凍餃子問題。今中国はちょうど旧正月(春節)の休暇に入りこの問題の真相が明らかになるのはしばらくかかると思われるが、かつて筆者が総合商社に勤め北京や香港に駐在した経験から今回の問題を考察したい。

まず、中国政府はこの問題をどのように結論付けるのか注目している。この問題に対し、中国当局は中国での報道を規制している。それもそのはず、北部では春節の時期に餃子を食すことが習慣となっているからだ。特に今年は南部の大雪で全国の交通網が麻痺し、故郷に帰れない農民工などが広州駅(南の交通の起点)などで足止めされ彼らに強い不満がある。これに餃子問題が報道されれば中国全土が大混乱となると判断したのだと思う。

今回の問題について中国側は「中国食品は安全であり、今回の問題は意図的なもの」とするか、「日本側の問題で中国側は全く問題ない」とするか、いずれの場合でも中国の食品に対する認識には納得がいかないものとなる可能性が高い。昨年の段ボール入り肉まんについても、最終的にはテレビ局のやらせ問題と結論付けて釈然としなかった経緯がある。たとえ中国側が、誰かを犯人に仕立てたとしても釈然としない解決となる可能性がある。本質的な構造的問題まで踏み込んで言及しなければ、中国食品に対する不信は解決せず、この影響は予想以上に拡大するであろう。この問題についていくつかの観点から筆者の意見を述べたい。

生産工程の管理を相手まかせにしてはいけない

中国で加工して日本とか第三国に輸出するパターンは繊維から始まった。日本の専門家が信頼できそうな工場をみつけ、工場内に特定のスーパーや小売に向けた専用生産ラインを設営する。しかし、そこで働く工員を教育することは容易ではない。分業体制で工員が働くことになるが、かつて繊維工場の場合では、担当の工程作業が終わり次の段階のために次の工員に製品を渡す場合の配慮が足りない場合が多かった。

工員は自分の役割が終わると製品を床に投げてしまう。ほこりまみれとなり後で洗濯しなければならなかった。現地に派遣された日本人は床を板敷きにして工員に上履きを用意するなど、苦労していた。食品の場合は床に投げることはないと思うが、分業作業についてのリスクは、工員に対する教育だけではなく、カネをかけて設備面でのバックアップが必要となる。

ところが、カネをかけて専用生産ラインをつくっても、しばらくすると他社が入り込んでいて、すでに別の生産ラインで作業をしている場合が多い。工場側は規模の拡大を狙うためやむを得ない部分もあるが、そのような事態になれば原料から製品に至る全体の管理が難しくなってしまう。今回の天洋食品の工場の場合も当初は一社が営々と築き上げたのであろうが、十数社の製品を製造するに至っている。日本の販売元が生産ラインをしっかりと管理することが必要となろう。

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