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新テロ法、57年ぶりの衆院再可決で成立!

(浅川 博忠=政治評論家)

「今日は偶然にも、後世に語り継がれる特別の日になる」。群馬県渋川市の講演で筆者はこう語り始めた。2008年1月11日午後の衆院本会議で新テロ特措法が再可決され、福田康夫首相が就任以来の悲願を達成した。昨夏に生じた“衆参ねじれ”現象が起因して、与党は、憲法59条に基づく衆院の再可決権を行使。実に57年ぶりの出来事となった。

この間の衆参両院での与野党の論戦は、以下の通り。政府与党側は終始一貫して「インド洋での海上給油は国際貢献であり、長期中断すれば国際社会から仲間はずれにされる」と主張。対する野党側は「米国追従」「給油の購入費用や使用先が不明確」などと糾弾。さらに、防衛省・守屋武昌前事務次官に絡む疑惑問題を加えて政府与党を攻め上げた。

論戦の成り行きに「五里霧中」の不安感を覚えた福田首相は昨秋に、民主党・小沢一郎代表に「大連立」構想を持ちかけた。小沢代表は前向きの姿勢を示したが、民主党内の議員の過半からの反対に遭遇して結局、破談。

福田首相と小沢代表の間に芽生えた相互信頼感

しかし、前後3回(院内では2回)の福田、小沢両党首のみの会談を通じて相互信頼感が芽生えた。同時に「今臨時国会で首相問責決議は提出しない。だが小沢代表の主唱する自衛隊海外派遣に関する恒久法案を次期通常国会で論議する」との暗黙の了解がなされた可能性は高い。

両者の相互信頼関係の存在は、1月9日の党首討論の場面に如実に表れていた。奥歯にもののはさまった物言いしかしない小沢代表と低姿勢一辺倒の福田首相。当然、その分だけ迫力に欠けた討論にしかならなかった。

腑に落ちぬ小沢代表の行動〜代表辞任、その撤回、再可決を欠席

小沢代表は、1月11日の再可決の本会議を途中退席して採決そのものにも棄権した。その理由は、新党日本の田中康夫代表と一緒に大阪府知事選の応援をする約束をしていたからであった。政治史上に残る大切な本会議での野党第1党党首の棄権。菅直人代表代行、鳩山由紀夫幹事長を筆頭に、民主党議員が困惑するのみならず、疑心暗鬼の心理に走るのは当然である。

「大連立」騒動と、小沢代表の辞意表明と撤回騒ぎ。この直後に「雨降って地固まるだ」と繰り返し述べていた鳩山幹事長に向かい、筆者は「いや、雨降ってぬかるみ残るだよ」と冷やかした。この会話を傍らで聞いていた民主党・岡田トミ子参院議員は翌日に、「『ぬかるみ残る』の話が昨晩妙に気になった」と筆者に語りかけてきた。

実際の話、小沢代表は、「大連立」騒動によって自分の求心力が低下するのを回避する、もしくは逆に高めるための策として、代表辞任の策を用いた気配が濃厚なのだ。この奇策は、半分は成功したものの、残る半分は不成功だった。代表の密室主義に対する不満や不平は党内にまだ残っている。

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