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40年物国債を生かす時価評価の徹底

(山崎 元=経済評論家、楽天証券経済研究所客員研究員)

小さく生まれる40年国債

国内で初めてとなる期間40年の国債が発行される。入札日は11月6日、発行日は11月20日で、1000億円程度の発行予定だ。先進国では、イギリスの40年債、50年債、およびフランスの50年債に続く超長期国債の発行となる。

発行額の1000億円はいかにも小さいが、財務省としては、まずは小さく生んで大きく育てようということだろう。超長期でも20年国債は年間10兆円近い発行額があって、投資家の間で定着している。

超長期国債のニーズ

40年という期間の国債には、どのような投資家のニーズがあるのか。複数の大手機関投資家が参加する財務省の懇談会である「国の債務の在り方に関する懇談会」の配布資料や議事録を見ると、生命保険会社や年金基金の「ALM」(アセット・ライアビリティー・マネジメント;資産負債管理)や「LDI」(ライアビリティー・ドリブン・インベストメント;負債対応投資)においてニーズがあるという。

ALMとは、資産のリスクと負債のリスクを総合的に管理すること全般を指す。銀行の場合なら、預金による短期の調達(負債側)と貸し出しによる長期の運用(資産側)の期間のミスマッチによる金利リスクなどを管理する。四半世紀くらい前からある概念で、アメリカでは70年代後半から80年代前半にかけて金利が大きく動いた時代に広く普及した。

LDIは、もう少し投資に特化した用語で、年金基金などが、負債特性に応じたポートフォリオを負債の変化に応じて組んで運用する運用手法を指す。年金の負債のキャッシュフローは数十年に及ぶので、超長期債への需要は確かにある。

筆者が運用委員会の委員として参加している国家公務員共済組合連合会(国家公務員の年金を扱う)でも、過去数年ALMを踏まえた運用方針とポートフォリオの構築について継続的に議論を重ねてきた。現在のポートフォリオは、負債のデュレーションと資産のデュレーションのマッチングをある程度意識したALM的なものになっている。今後、超長期の国債市場に厚みが出ると、こうした運用における選択肢が広がり、精度が増すことになる。40年国債の登場は歓迎だ。

余談だが、財務省理財局が作成した検討資料には「円の無リスク資産を供給し債券市場や金融機関のALMの発展に資する」という40年国債発行の位置づけに関する説明が載っている。ちまたには、日本国の財政破綻が遠からずあり得ることのように語る論者が少なくない(中にはいかがわしい金融商品・サービスを売るためにする議論もある)。こうした論者に「円の無リスク資産」という言葉についてどう思うか尋ねてみたいものだ。どちらの正しさにも「絶対」とは言えない。それにしても、国債市場の中心部とちまたでは、国債に対するイメージにこれだけ大きな差がある。

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