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第17回中国共産党大会〜「中国株式会社」はどこへ行くのか

(宮家 邦彦=AOI外交政策研究所代表)

10月21日、中国共産党が第17回党大会を閉幕した。レトリックに若干の変化はあるものの、基本的には過去5年間の諸政策をすべて踏襲する。曽慶紅の退任、習近平、李克強の抜擢を含む第2期胡錦濤指導部の人事も決めた。いずれも概ね予想通りの結果と言えるだろう。

それもあってか、日本のメディアでは胡錦涛の実権掌握、若手世代の台頭など、主として党内対立や幹部人事に焦点を当てた報道が目立っている。もちろん、こうしたとらえ方自体は間違いではない。しかし、人事ばかりに注目すれば、事の本質を見失う恐れがある。

確かに今次党大会は、政治局常務委員人事を除けば、大きなサプライズはなかったように見える。しかし、中国共産党という組織の将来にとって、今次党大会の意義は決して小さくないはずだ。本稿では2期目に入る胡錦濤体制の行方について、現時点で入手可能な情報に基づき、取りあえずの分析を試みたい。

中国人は政治の達人

一般のビジネスパーソンにとって中国の内政は非常に分かりにくい。今次党大会での胡錦濤の政治報告を読んでも、抽象的な美辞麗句ばかりで具体論がない。直面する問題点は指摘していても、方法論は示さない。今回党規約に盛り込まれた「科学的発展観」なる重要思想も、何が重要なのかさっぱり分からない。ビジネス関係者には実にまか不思議な世界である。

理由は簡単。前回も書いた通り、現在の中国では政治がすべてに優先するからだ。昔から中国人は政治の達人である。しかも厄介なことに、経済活動とは異なり、権力という目に見えない価値には、通貨のような絶対的な価値尺度がないのだ。

だから、今次党大会についても、「江沢民対胡錦涛の暗闘」とか、「共青団派と太子党の対立」といった一見もっともらしいインサイダー情報がまことしやかに報じられる。しかし、これらを鵜呑みにして中国政治を理解したつもりになるのは実に危険なことだ。

我々が中国内政を正しく理解できないのはなぜだろう。もしかしたら中国を「国家」として「政治的」に分析しようとし過ぎるからではないか、と最近筆者は思い始めている。確かに、中国内政は昔から権謀術数の歴史だ。個々のエピソードは実に面白い。しかし、そうした権力闘争の詳細にばかり目を奪われていると、かえって全体の流れが見えなくなるのではないか。

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